近畿地方整備局の中止事業
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「国土交通省直轄ダム」の記事における「近畿地方整備局の中止事業」の解説
近畿地方整備局管内における中止したダム事業は、旧内務省・旧建設省時代を含め11事業に上る。 日本における最初期の直轄ダム事業として計画された猪名川ダム(猪名川)は太平洋戦争の激化により事業が中断され、戦後も再開されることはなかった。猪名川流域における多目的ダム事業は1968年(昭和43年)の一庫ダム着工まで行われなかったが、猪名川支流の余野川に余野川ダムが1980年より計画された。これは猪名川流域の洪水調節と上水道供給に加え、深刻な水質汚濁が慢性的に続く猪名川の水質改善を目的にダムより河川維持放流を行い、下流に設けられる河川浄化施設と連携することで猪名川の水質を改善させる計画であった。しかし2005年の淀川水系流域委員会答申で余野川ダムの中止が勧奨され、2008年には中止方針が決定された。 一方、吉野熊野特定地域総合開発計画の中で旧建設省は、新宮川水系において十津川・紀の川総合開発計画とは別個に熊野川総合開発計画を立案。本流筋に3箇所、支流北山川筋に4箇所の多目的ダムを建設し、治水、灌漑および水力発電を行う計画を検討した。ところが詳細な計画立案を行ったところ事業費約450億円(当時の額)に対し完成後の効果がわずかであり、費用対効果に著しく欠けることが判明。1953年9月に建設省は調査事務所を閉鎖して熊野川総合開発計画とそれに基づくダム計画は全て白紙となった。しかし水力発電単独目的であれば採算性が取れることから電源開発が同計画を発電単独目的に修正した熊野川開発全体計画として1954年7月より事業に着手した。現在新宮川水系にある風屋ダム(熊野川)、二津野ダム(熊野川)、池原ダム(北山川)、七色ダム(北山川)、小森ダム(北山川)、坂本ダム(東ノ川)は何れも熊野川総合開発計画に基づき計画されたダム群の後身である。 紀の川水系では和歌山県橋本市と伊都郡九度山町を流れる支流の紀伊丹生川に建設が計画されていた紀伊丹生川ダムが中止されている。治水および大阪府、和歌山市などへの利水を目的に高さ145メートルの巨大ダムが1989年(平成元年)より計画されたが景勝地の玉川峡が水没することで反対運動が強く、その後水道事業者の大阪府、和歌山市などがダム事業から撤退し費用対効果で事業の継続が困難になったことから2002年(平成14年)に中止されている。 所在水系河川ダム型式高さ総貯水容量分類水特法備考出典福井 九頭竜川 足羽川 旧足羽川ダム 重力 77.0 60,000 特定 治水ダムへ変更 大阪 淀川 余野川 余野川ダム 重力 74.0 17,500 特定 兵庫 淀川 猪名川 猪名川ダム - - - 奈良 新宮川 熊野川 旧風屋ダム 重力 130.0 172,000 発電専用ダムに変更 奈良 新宮川 熊野川 鹿測ダム 重力 70.0 47,000 二津野ダムの前身 奈良 新宮川 北山川 前鬼口ダム 重力 95.0 29,500 池原ダムの前身 奈良 新宮川 北山川 北山ダム 重力 65.0 37,000 七色ダムの前身 奈良 新宮川 北山川 大沼ダム 重力 40.0 - 小森ダムの前身 奈良 新宮川 東ノ川 大瀬ダム 重力 130.0 91,500 坂本ダムの前身 和歌山 紀の川 紀伊丹生川 紀伊丹生川ダム 重力 145.0 60,500 特定 和歌山 新宮川 熊野川 檜杖ダム 重力 30.0 70,000
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