軍からの支援
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 05:04 UTC 版)
「アメリカ合衆国の高等教育」の記事における「軍からの支援」の解説
軍隊から奨学金を支給されて大学に通う学生もいる。入隊前に進学するプログラムと、入隊中や退役後に進学するプログラムがある。前者は、軍事大学に通う、あるいは一般大学の士官候補生団(Corps of Cadets)や予備役将校訓練課程(ROTC)というプログラムに入り、在学中から訓練を受け卒業後に兵役に就く。すでに軍に入隊している者は復員兵援護法(GI法)により在役中あるいは除隊後に奨学金や学生ローンを得て進学する。 こういった軍と関わりを持つ学生たちの入学試験は、身体・運動能力テストを除けば一般大学と変わらない。しかし入学後の身体鍛錬、軍事科目と専攻科目の両立、実技演習など非常に過密でハードなスケジュールに耐えられるだけの肉体と、まわりの誘惑に負けずに軍隊規律に従えるだけの精神力が必要である。彼らが軍関係の進路に進む主な動機は、職業軍人になるため、パイロットや看護婦など安定した職に就ける教育と経験を得るため、そして奨学金を受けて学位を取るためである。 米軍には海軍戦略大学(Naval War College)、空軍大学(Air University)、陸軍指揮幕僚大学(Command and General Staff College)、国防大学(National Defense University)といった高等教育機関があるが、これは優秀な軍人と軍の機関に勤務する民間人のみを対象にしており一般学生が受験することはできない。 アイビーリーグがアカデミックのエリート校なら、将校を養成する軍隊アカデミー(士官学校)は軍隊のエリート校である。陸軍・海軍(海兵隊を含む)・空軍・沿岸警備隊それぞれに1校ずつあり、国立の4年制である。学費は国が負担するため無料。モラル意識が高く、知力、体力、身体、精神面すべてにおいてトップレベルの学生のみが入学を許される。独身のアメリカ市民であることが前提。副大統領・上院・下院議員の推薦状を勝ち取った者は非常に有利である。特に歴史の古い陸軍士官学校(ウェストポイント)と海軍士官学校(アナポリス)は最難関校である。 士官学校にもプレップスクールがある。士官学校に「条件付き」で入学できた人間を教育・訓練して士官学校に送り込む機関であるため、直接プレップスクールを受験することはできない。たとえばアメリカ海軍プレップスクール(英語版)、通称NAPS)の学生はナップスターと呼ばれ、NAPSでの修行期間を経て海軍・海兵隊・沿岸警備隊いずれかの士官学校へ入学する。 すでに軍に入隊している者には、GI法という復員兵の援助を保障する法のもとに恩典が与えられる。奨学金および低金利学生ローンもその一つである。高卒以上で名誉除隊の条件を満たす者のうち、満期退役した者、長期間勤めている者、軍の都合で早期除隊させられた者、国際紛争や戦争で出兵した者に資格が与えられる。これらの軍人の扶養家族も同様のサービスを受けることができる。給付期間は在役期間と軍役中の国際情勢で異なる。
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