軌間狂い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/22 14:13 UTC 版)
軌道は列車が走行するたびに少しずつ変形してしまう。これを軌道狂いといい、このうち軌間の所定の値(ただし曲線部では所定の軌間とスラックの和)からのずれを軌間狂いという。狂いが大きくなると乗り心地が悪くなり、さらに大きくなると脱線の危険も高まる。このため定期的に検測と保守作業を行ない、狂いが一定の範囲内に収まるようにしている。 手動による軌間狂いの検測には、軌間ゲージという器具が用いられる。また軌道検測車により走行しながら検測を行なうこともできる。 JR在来線の場合、軌間狂いの整備目標値は+6 mmから-4 mm(高速軌道検測車による動的値の場合は+10 mmから-5 mm)である。ただし分岐器のクロッシング部では、狂いが大きいと異線進入のおそれがあるため、+5 mmから-3 mmとされている。整備基準値は直線部で+14 mm(高速軌道検測車による動的値の場合は+20 mm)である。新幹線の場合は、軌道管理目標値は高速軌道検測車による測定で+6 mmから-4 mmとなる。 日本の私鉄路線において、運輸安全委員会が調査した事故のうち、2017年5月22日に発生したわたらせ渓谷鐵道脱線事故における検測車両(キヤE193系)の脱線事故を始めとして、西濃鉄道市橋線脱線事故(2016年10月6日発生・貨物列車)・紀州鉄道脱線事故(2017年1月22日発生・旅客列車)・熊本電鉄藤崎線脱線事故(2017年2月22日発生・旅客列車)の4件で同様の事故が発生したことを受けて、2018年6月28日に運輸安全委員会がこれらの事故は枕木やレール締結装置の不良(犬釘が浮いた状態になるなど)で「軌間拡大」が発生したことによると考えられると指摘している。その対応策として、コンクリート製などへの枕木の材質変更、脱線ガードや脱線防止レールの敷設が望ましく、軌道の定期検査や線路巡視による枕木やレール締結装置の適切な管理、軌道変位の状況に応じた適切な軌道整備の実施が必要としている。 鉄道車両に高速カメラを搭載させて、運行時に線路(路面)撮影する。撮影された映像をもとにして、軌間狂いを人工知能などで検出を行い、沿線の保守工事を行うことがなされている。
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