豚たちとその仲間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 06:22 UTC 版)
ナポレオン 雄豚。メージャー亡き後に、スノーボールと共に動物たちを指揮し、革命を成功させる。その後は農場の運営方針を巡ってスノーボールと激しく対立する。演説は苦手だが、政治的根回しが上手く、狡猾。革命直後に母犬から9匹の仔犬を取り上げ、自分のシンパに育てており、後にこれらを個人の武力とする。また、腹心のスクィーラーを使い、頭の良くない動物たちを言いくるめ、納得させる。 スノーボール追放後は議会を豚たちが占める改革を行い、さらには自らが散々批判していた風車計画を自分の手柄として始める。人間たちとの取引も開始し、それによって過酷な収奪を始める。また政策の失敗は、スノーボールや人間たちの陰謀として責任転嫁を図り、時には抗議する動物たちを粛清し、恐怖政治を敷く。 終盤で他の豚たちと同じくよく肥えた状態となっており、さらには2本足で歩き初め、服を着るようになる。最後はマナー牧場に名前を戻した上に、屋敷に人間たちを招き、共に食事やゲームに興じる。その窓の外から見える姿の影は最終的に人間となる。 モデルはヨシフ・スターリン。 スノーボール 雄豚。メージャー亡き後に、ナポレオンと共に動物たちを指揮し、革命を成功させる。豚たちの中でも特に賢くて演説がうまく、さらに牛舎の戦いでは勇猛果敢に戦うなど、他の動物たちからの信頼も厚い。このため主導権を握っていたが、農場の運営方針ではナポレオンと激しく対立する(特にスノーボールは、動物主義を他の農場にも広めるべきと言い(世界革命論)、武装を主張するナポレオンと対立する)。後に風車建設計画の賛否を問う議場でナポレオンに追放される。 追放後は登場しないが、その後のナポレオンの政策の失敗はスノーボールの仕業とされ、夜な夜なやってきては農場の運営を妨害したり、人間たちに協力しているなど、諸悪の根源としての虚像が膨れ上がる。また、作中では必ずしも良きキャラクターとして描写されておらず、食料を豚たちが優先的に得るようになったのはまだスノーボールが健在の時であり、風車計画が誇大であることも示唆されている。 モデルはレフ・トロツキー。また、実体がなく、同志たちの敵という物語後半の在り方は後の『1984年』のエマニュエル・ゴールドスタインとも共通する。 メージャー爺さん 老いた雄豚。ある日、夢で見た光景として全ての動物の平等と自由を謳った「動物主義」を唱える。人間への敵意は忘れてはならないとし、2本足は悪で、4本脚や翼を持つ者のみが味方だと言う。また、家屋に住んだり、服を着たり、酒やタバコを嗜むのは人間の習慣はすべて悪であり、禁忌とする。革命の直前に病死する。 最初にメージャーが主張した内容(人間の下では必要以上に搾取される、用済みになれば屠殺される)は後にナポレオンが実行し、また、掟(服や契約など人間の真似はしてはいけないなど)も、すべてナポレオンによって破られる。 モデルはウラジーミル・レーニン。 スクィーラー 若い雄豚。ナポレオンの側近。雄弁家で、動物たちからは白を黒に変えるとも評される。ナポレオン、スノーボールと共に他の動物たちに知られていた豚の一匹であり、ナポレオンやスノーボールが決めた指針を動物たちに説明する役目を担う。後に、ナポレオンの腰巾着となって演説や説明が苦手な彼に代わって動物たちに彼の方針や考えを説明や説得するようになる。羊たちに「2本足は悪」のシュプレヒコールを覚えさせたり、納屋のスローガンを勝手に書き換えている存在であることも作中で示唆される。 モデルはヴャチェスラフ・モロトフ。 犬たち 元はジョーンズに忠誠を近い、動物たちに恐れられていた犬たちの子供。革命後にナポレオンによって幼い時に母犬から引き剥がされ、動物主義の原理を教えるという建前の下で、ナポレオンの私有兵力となる。スノーボールを追い立てて追放し、ナポレオンの方針に異議を唱えようとすると威嚇してくるなど、動物たちから恐れられる。 モデルはチェーカーや国家政治保安部(GPU)、内務人民委員部(NKVD) といった秘密警察。
※この「豚たちとその仲間」の解説は、「動物農場」の解説の一部です。
「豚たちとその仲間」を含む「動物農場」の記事については、「動物農場」の概要を参照ください。
- 豚たちとその仲間のページへのリンク