動物主義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 04:50 UTC 版)
豚のスノーボール、ナポレオン、スクィーラーは、メージャー爺さんのアイデアを「完璧な思想」に昇華させる。これは共産主義の寓意として動物主義と命名される。作中でナポレオンとスクィーラーは、自分たちが権力を握ると早々に人間が行う活動(飲酒、ベッドで寝る、取引)を初めたが、これらは「7つの掟(七戒、Seven Commandments)」において明示的に禁止されていた。この7つの掟を変更する者としてスクィーラーが登場している。これはソビエト政府が自分自身と社会をについての認識をコントロールするために歴史を修正していたことを比喩している。 元の掟は以下の通りであった。 1. 2本足はすべて敵である。2. 4本脚と翼を持つ者はすべて友人である。3. 動物は服を着てはならない。4. 動物はベッドで寝てはならない。5. 動物はアルコールを飲んではならない。6. 動物は他の動物を殺してはならない。7. すべての動物は平等である。 これら7つの掟は、作中でスノーボールにより「4本脚は良い。2本足は悪い」というスローガンに集約される。これは主に羊たちが使用し、動物間の議論などで混乱をもたらすことがよくある。 後にナポレオンとその一派の豚は、違反しているという告発から自分たちが免れるために、いくつかの掟を密かに改訂していく。作中で明らかにされる変更された掟は以下の通りである。 4.動物はシーツのあるベッドで寝てはならない。5.動物はアルコールを過剰に飲んではならない。6.動物は理由なく他の動物を殺してはならない。 最終的には7つの掟は「すべての動物は平等だが、一部の動物はさらに平等」の1つに書き換えられてしまい、集約されたスローガンも「4本脚は良い。2本足はさらに良い」に置き換えられる。本来、7つの掟は動物を人間に対して団結させ、また人間の邪悪な慣習に従うのを防ぐことで動物農場内の秩序を守ることにあったが、これを豚たちが破り、人間に近づいていくことを皮肉っている。 この掟の改訂を通して、オーウェルは政治的な教義がいかに順応性のある宣伝になるかを示している。
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