諸用語の定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 21:07 UTC 版)
特定商取引法で使われている用語を定義しておく。これらの用語は日常用語と若干異なる意味であるものがあり、そうした用語は日常用語と区別する意味で<用語>と表記することにする(以下、同じ表記方法を使う)。 指定権利とは、政令の別表第一に記載されている権利をいう。保養のための施設又はスポーツ施設を利用するための権利(例:リゾート会員権、ゴルフ会員権) 映画、演劇、音楽、スポーツ、写真又は絵画、彫刻その他の美術工芸品を鑑賞し又は観覧する権利(例:映画チケット、美術館チケット) 語学の教授を受ける権利(例:英会話サロンの利用券) <営業所等>とは、次に掲げるものをいう。営業所 代理店 露店、屋台店その他これらに類する店 一定の期間にわたり、指定商品を陳列し、当該指定商品を販売する場所であって、店舗に類するもの 自動販売機その他の設備であつて、当該設備により売買契約又は役務提供契約の締結が行われるものが設置されている場所 「一定の期間」とは、通常最低2、3日以上を指し、半日や1日で次の場所に移動するようなものは含まれない。「陳列し」とは、消費者が自由に商品を選択できる状態でなければならない。「店舗に類するもの」とは、常設展示場、しばしば展示販売が行われる公会堂、集会場等の公共施設、ホテル、体育館等が該当し、これらの場所以外で行われる住居訪問販売、職場訪問販売、路上でのキャッチセールス等は、すべて本法の訪問販売に該当する。この3要件はすべて充足されていなければならない。 具体的には、通常は店舗と考えられない場所であっても、実態として展示販売にしばしば利用されている場所(ホテル、公会堂、体育館、集会場等)で前記3要件を充足する形態で販売が行われていれば、これらも店舗に類する場所での販売に該当する。」としている。 特定顧客とは、次に掲げるものをいう。<営業所等>以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた者 これについて「通達」は、「「呼び止め」とは、特定の者に対して呼びかけることにより、その注意を向けさせる行為を意味し、必ずしもその場所に停止させることは必要でなく、併歩しつつ話しかける行為も含まれる。 また、「同行させ」る行為とは、呼び止めた地点から営業所等まで相当程度の距離を、呼び止めた者が案内していくことを意味する。したがって、通常の店舗販売業者が店舗の前で行う呼び込みは、「同行させ」る行為が欠けており、本号に該当しない。」としている。 下記の手段で、当該売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに営業所その他特定の場所への来訪を要請した者電話、郵便、信書便、電報、ファクシミリ装置を用いて送信する方法 電磁的方法(電子メール広告) ビラ、パンフレットを配布 拡声器で住居の外から呼び掛ける 住居を訪問 これに該当するのは、「本来の販売の目的たる商品等以外のものを告げて呼び出す場合」であり、「自らそれを扱う販売業者等であることを告げたからといって、必ずしも当該商品について勧誘する意図を告げた」ことにはならない。具体的には、「『見るだけでいいから』と告げるなど販売意図を否定している」場合、着物即売会で「着物を購入しなければ講習自体も受けられないにもかかわらず、着付け教室のみの参加が可能であるように表示するなどしている」場合、「パンフレット等に消費者の目に留まらないような小さい文字で『新作商品をお勧めする即売会があります』と記載するなど、実質的に販売する意図が示されているとは言えない」場合は、「当該商品について勧誘する意図を告げたことにはならない」とされる。 <訪問販売>とは、次に掲げるものをいう。販売業者又は役務提供事業者が<営業所等>以外の場所において、売買契約の申込みを受け、若しくは売買契約を締結して行う指定商品若しくは指定権利の販売又は役務提供契約の申込みを受け、若しくは役務提供契約を締結して行う役務の提供 指定商品若しくは指定権利の販売又は役務提供契約という限定があるものの、日常用語としての「訪問販売」の概念とほぼ一致するものである。 販売業者又は役務提供事業者が、<営業所等>において、特定顧客から売買契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と売買契約を締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は特定顧客から役務提供契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と役務提供契約を締結して行う役務の提供 営業所等でのことであり、日常用語としての「訪問販売」という概念から外れるが、「法」はこうしたものも「訪問販売」として定義している。 定義が複雑であるが、具体例をいくつか示す。キャッチセールス 繁華街等で通行人を呼び止め、近くの営業所などに連れて行き、高額商品の契約を迫る。 アポイントメント商法(アポイントメントセールス) 販売目的を秘匿して相手とアポイントメントを取り、営業所などに誘い出して契約させる商法。無作為に電話をかけ、「あなたが選ばれました」という感じで優越感を与えて営業所などに呼び出し、高額商品の契約を迫るという手口が代表的である。 催眠商法(宣伝講習販売、SF商法) 無料プレゼントをえさに、街頭でチラシを配ったり、セールスパーソンが家庭を訪問したりして、主に主婦や老人を会場に集め、最終的には高額な商品を売りつける。なお、「SF」は、サイエンス・フィクションとは何の関係もなく、「新製品普及会」の略である。
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