論争の国際化とは? わかりやすく解説

論争の国際化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 07:50 UTC 版)

南京事件論争史」の記事における「論争の国際化」の解説

1990年代にはジョン・ラーベ日記邦訳南京の真実』などをはじめとする多く資料集編集・発行された。ラーベ日記保管していた遺族働きかけたのは、中国系アメリカ人反日組織紀念南京大屠殺受難同胞聯合会であり、彼らはアイリス・チャンの『ザ・レイプ・オブ・南京』などの著作について論争仕掛け日本の戦争犯罪追求しはじめた当時まだ無名29歳であったチャンによる『ザ・レイプ・オブ・南京』では日本軍によって2万人から8万人中国人女性強姦され、さらに多く日本軍兵士が「女性内蔵抜き出したり、胸を切り裂いたり、生きたまま壁にくぎづけにしたりした。家族見ている前で父親に娘を強姦させ、息子には母親強姦させた。生き埋めにしたり、去勢したり、臓器切り刻んだりしたばかりか、の鉤を舌に刺してつるし上げたり、腰まで地中埋めた中国人をドイツ・シェパードが噛みちぎるのを眺めたり極悪非道な拷問行った」ことこそが歴史真実であり、こうした真実日本隠蔽し、また欧米無知のままでいると主張した。また日本虐殺否定説は「セカンドレイプ」であるとした。 ニューズウィークはじめ米各紙同書大々的取り上げ絶賛し、十週にわたってニューヨーク・タイムズのベストセラー・リスト載るほどの反響呼んだ当初中国政府は公式にはこの運動への関わり表明しなかったため、事件政治色の薄い人道問題みなされた。 しかし、研究者からラーベ日記には「民間人の犠牲者10万人は多すぎで、5万から6」と記録しており、犠牲者30説を支持する大虐殺派とまぼろし派の双方当惑させた。笠原十九司ラーベの「5万から6」は南京郊外考慮にいれていない97年12月シンポジウム述べると、中国側孫宅巍は「30南京城内だけの数字」と反論しこの頃から中国日本親中派配慮せず30の「公定数字」には一切妥協を許さなくなっていった。ドイツ雑誌シュピーゲル中国30万という数字握りしめて離さないのは、文化大革命での大量虐殺から目をそらせるためであると評したスタンフォード大学デビッド・M・ケネディ南京虐殺ナチスによるユダヤ人虐殺ホロコースト)と同一視する根拠チャン提示できていない批判したまた、アイリス・チャン著作についてカリフォルニア大学のJ.フォーゲル近代日中関係史研究者にとっては「耐え難いほどのまがいもの」であり、チャン著作称賛したシェル教授批判し、また中国系アメリカ人アイデンティティ・ポリティックスは「比較犠牲者学」のアプローチ採用していると酷評した。また虐殺派の吉田裕でさえもチャンの本は事実誤認あまりにいとした江崎道朗チャンの本は「日本憎し感情先行した記述」であり、学問的検証二の次にされているばかりか写真大半出所疑わしく日本非難という政治目的のための宣伝本という性格濃厚であると評した。 こうして論争国際的なものになっていき、その一方で日本大虐殺派と中国政府の公式見解に対立見られるようになった

※この「論争の国際化」の解説は、「南京事件論争史」の解説の一部です。
「論争の国際化」を含む「南京事件論争史」の記事については、「南京事件論争史」の概要を参照ください。

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