論争の前段とは? わかりやすく解説

論争の前段

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/25 01:27 UTC 版)

日の神論争」の記事における「論争の前段」の解説

前述したように貞幹は『衝口発』において神代紀年数記述荒唐無稽否定した具体的には「本邦上古之世ヲ天神七代地神五代ト名テ国史以下ノ書ニ神代ト云フ。神武記ニ此間一百七十二千四百七十余歳トス。此年固ヨリ論ズルニタラズ」とした。これに対して宣長は『鉗狂人』で否定をした。以下は宣長批判対す秋成意見である。 秋成)「太古の事蹟の霊奇なる、誰か其理を窮むへき、大凡天地内の事、悉(ことごと)皆不可測ならぬはあらす」。 国学において古書にあって不可知なものはそのまま不可知であり、道徳観念で否定をした貞幹は間違っている。 朱子学宇宙構成する要素を明らかとし、その上で人間仕組み説き道徳に従うことがあるべき形とした。18世紀当時アジアでは日本含めて政治から人文までのあらゆる万物道徳観念で解釈をされた。神話古代の人が感じた不可思議なことを神々仮託して変えたお話寓話アレゴリー朱子学解釈をしたのに対し宣長秋成神話そのまま神話であり観念論からの解釈をしない立場にいた。 そこには実証的相対的な立場から朱子学否定政治学問道徳から解放した日本伊藤仁斎山鹿素行荻生徂徠古学派影響がみえる。しかし秋成は貞幹が疑問をもった背景として古書への疑問挙げた。すなわち『古事記』『日本書紀』伝説異同がある点は指摘した具体的には「太古の伝説といふにも、後に撰する人の聞もらせし事も有歟。或は私意以て淘汰せし事も有しにや。二記の伝説異同少からず。然は疑うへからすと云共、猶疑念の休ム時もあらしとおほゆ」とした。これに対して宣長返事は以下の如くである。 宣長)「(貞幹が)たゝ其甚遠長なるを以て、ひたふるに不足論といへるは、普通の漢意なまさかしらにして、古意にあらさる」態度である。秋成年齢長さ疑わず年数が詳しい点を疑問としたのは、「古意にかなへり」とした。ただし、「異あるによりて其事をなへて疑ひて取らさるは、非也」(一部省略) 遠長とは『古事記』における天皇年齢137歳(神武天皇)や168歳(崇神天皇)とある点を指す。不足論とは貞幹の此年固ヨリ論ズルニタラズという発言を指す。 古書も人の書いた書であり筆者取捨選択知識有無好悪感情入り込む。『記紀』に異同があればおかしいというべき。その点を問うた秋成対し宣長古書疑いがあるからといってすべてを否定すべきではない。異同があるのは自然なこととい返事をした。小林秀雄は『本居宣長』のなかで宣長逃げ口上ととられても仕方なかったとした。

※この「論争の前段」の解説は、「日の神論争」の解説の一部です。
「論争の前段」を含む「日の神論争」の記事については、「日の神論争」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「論争の前段」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「論争の前段」の関連用語

論争の前段のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



論争の前段のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの日の神論争 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS