課題設定とその対策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 23:18 UTC 版)
早稲田大学講師で評論家の武田京子は、嫁、家長、長男といった介護者が被介護者の意向と無関係に殺害するという典型像と反例とを描き、「一人に介護を担わせない」「血縁信仰を捨てる」「死ぬ権利はわが手に」「自立した自分の人生を生きる」といった題目と、「男性にも家事や介護の知識・技術を」「介護の公的サービスの充実を」「家庭介護から地域介護へ」といった標題を掲げた。 2006年の法改正については「虐待防止の相談窓口が全国にできたことは大きな前進。だが、人材確保や研修の充実、家族支援などに必要な予算が確保されなければ、実効のある対応は期待できない」(高崎絹子・東京医科歯科大学大学院教授)、「必要なら在宅サービスの支給限度額いっぱいまで使えるよう、ケアマネジャーが要介護者の生活全般を見てプランを作るべきだ」「将来的には、重度者の限度額引き上げを検討する必要がある」(池田省三・龍谷大学教授)、「孤立した世帯を見つけるには、"地域の目"をどれだけ増やせるかがカギを握る」(川崎市地域包括支援センター担当者)といった意見があがった。 花園大学委嘱研究員の根本治子は、医療・福祉・の専門性の保証、地域力の活用、医療・福祉・司法の連携の必要性を論じ、「筆者は、家族を介護するのはあくまでも家族が主体だと考えている。」との立場に立った。 日本福祉大学准教授の湯原悦子は、国主導の事件の検証、「介護者法」のような法整備、自治体独自の支援策を求め、「現在日本でもイギリスの実践に習い,ケアマネジャーらが介護者アセスメントの開発を行い,ケアプラン作成技術の向上をめざす試みが始まっている.それらを一部の実践に留めることなく,介護者支援の方策として全国に展開していくことが今後の課題である.」と述べた。 東洋大学准教授の高野龍昭は、ケアマネジャーとして介護に携わった経験から、サービスを十分活用して欲しいと述べた。 毎日新聞は「ケアマネジメント・オンライン」を通したアンケートで「疲れている介護者」を支える必要な支援を質問したところ(複数回答)、「夜間や緊急時に対応できるサービスの充実」(68%)、「経済的支援」(62%)、「介護者支援のための新たな法律の整備」(55%)があがった。記者らは「ケアマネジャーの仕事は忙しい。それに、介護者を直接に手助けすることは本来の業務では定められていない。」と指摘し、ショートステイ、レスパイトケアの重要さと、その利用を阻む貧困と人手不足、介護者支援の法整備不備に言及、また、男性介護者限定で悩みなどを語り合う場が各地で作られていることに注目した。
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