爆雷
航空爆雷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/04 05:13 UTC 版)
航空機が投下して使用する爆雷は一般的に航空爆雷と呼ばれる。海上自衛隊では『対潜爆弾』と呼称している。 第二次世界大戦までは航空機の装備する対潜兵器の主力であったが、現代では対潜ミサイルや対潜魚雷などの誘導兵器が主流であり、爆弾倉のスペースを誘導兵器に割り当てるため搭載数を減らしたり廃止した国が多い。しかし精密な電子部品が多いミサイルや魚雷に比べ、構成部品は水圧や時限式の信管と炸薬だけという単純さから故障しにくく、相対的には安価である、また重量のほとんどが炸薬で占められており効率も高いため、哨戒ヘリコプターにも搭載できる小型の航空爆雷が利用されている。魚雷が利用しにくい沿海域では潜水艦だけでなく水上目標にも有効である。 爆雷が海面付近で起爆した場合、エネルギーのほとんどか水柱となって海面上に出てしまい潜水艦への攻撃としては無駄になるが、巨大な水柱や衝撃は船舶に対する警告・威嚇目的として有用であることから、アメリカ海軍や海上自衛隊などは遠洋で活動する固定翼哨戒機に常時搭載している。 海上自衛隊では1999年の能登半島沖不審船事件の際には、停船を促す警告としてP-3Cから150kg対潜爆弾12発が不審船の至近に投下された。また2005年から配備された哨戒ヘリコプターのSH-60Kは対潜爆弾の搭載に対応しており、たかなみ型護衛艦には艦載ヘリコプターが使用する対潜爆弾の弾薬庫が新造時より準備されている。 本来の使い方ではないが、海軍では観艦式などにおいて航空部隊が対潜爆弾を投下し水柱を上げる展示を行うことがある。 海上自衛隊の150kg対潜爆弾(カットモデル) ビッカース ウェリントンに航空爆雷を搭載する作業 PBY飛行艇から投下される航空爆雷 S-2から投下された航空爆雷により発生した水柱。大西洋艦隊を視察したジョン・F・ケネディ大統領の前で対潜戦のデモンストレーションとして行われたもの。
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