航空特攻開始後の分析
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 08:16 UTC 版)
日本海軍軍令部が1945年3月2日に海軍省に対して説明した特攻の威力は下記の通りであった。 特攻機の威力 特攻機と搭載爆弾桜花 (炸薬量1300kg)800kg爆弾を搭載した特攻機500kg爆弾を搭載した特攻機250kg爆弾を搭載した特攻機威力点 5点 3点 2点 1点 撃沈に要する威力 正規空母巡改(軽)空母護衛空母戦 艦巡洋艦所要弾薬 桜花1機と800kg特攻機1機 桜花1機と800kg特攻機1機 800kg特攻機1機 桜花2機 桜花1機 所要威力点 8点 8点 3点 10点 5点 ただこれは目安であって、実戦でこの通りになるというわけではない。 護衛空母セント・ローは1機の250kg爆弾搭載零戦、ビスマーク・シーは同2機の特攻で撃沈されているし、排水量であれば重巡洋艦クラスの艦隊随伴給油艦ポーキュパイン (艦隊給油艦)(英語版)(排水量14,245トン)や、駆逐艦アブナー・リードやキャラハンも1機の特攻機で撃沈され、ウィリアム・D・ポーター (駆逐艦)については特攻機1機が至近海中で爆発した衝撃で転覆して沈没した。 逆に、それぞれ5機の特攻を受けて深刻な被害が出たが沈まなかった駆逐艦ニューコムやラフェイのような例もあるし、対空砲火で撃墜された特攻機1機の破片が、一旦海面にバウンドしてから側面鋼板に衝突して飛行機型の傷を残したイギリス軍重巡洋艦サセックスのような特攻に威力がないとする例も出てくるので、撃沈に至った特攻機の命中機数で一概に特攻攻撃の威力を測ることはできない。 アメリカ軍の統計によれば、特攻による艦内部の破壊は、平均すると通常の魚雷攻撃を含んだ航空攻撃よりは軽く、駆逐艦においては、通常の魚雷攻撃を含んだ航空攻撃での被害艦の沈没比率は28.9%であったのに対して、特攻による沈没率は13.7%と約半分であったが、これは、第二次世界大戦中のアメリカ軍の駆逐艦の撃沈破艦の約半数が、わずか10か月間の特攻による損害であったという事実でも解るとおり、その攻撃有効性の高さも相まって、多くの特攻機が多種多様な角度や速度で命中したことによるものであった。 日本陸軍の特攻の威力に対する評価は、戦後に米国戦略爆撃調査団の事情聴取に対し、第6航空軍の高級参謀が、「特攻は通常攻撃より効果が大きい、その理由は爆弾の衝撃が飛行機の衝突によって増加され、また航空燃料による爆発で火災が起こる、さらに適切な角度で行えば通常の爆撃より速度が速く、命中率が高くなる」と供述している。
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