核爆雷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/25 22:40 UTC 版)

核爆雷(かくばくらい, 英: Nuclear depth charge)とは、核兵器を使用した爆雷の一種。対潜兵器として潜航中の潜水艦攻撃に用いる。通常爆薬を使用した爆雷よりもはるかに威力が大きく、至近距離の炸裂でなくとも潜水艦にダメージを与えることができる。詳細な敵潜水艦位置の測定や精密な誘導を必要としないという特徴を持つ。
核爆弾の実用化とともに核爆雷も実用化の研究が進められ、1950年代には実用化が行われた。核出力は可変であり、炸裂深度も目的・目標に応じ変更させることができた。核爆雷の運搬手段としては、対潜哨戒機からの投下のほか、対潜ミサイルの弾頭部として用いられた。爆発威力が大きすぎるために、巻き添え防止のため、艦船から直下への投下は行われない。また、初弾で敵艦を撃破できなかった場合、爆発による海水擾乱が大きすぎ、再探知が非常に困難という短所を有している[1]。
アメリカ・イギリス・ソ連で核爆雷の配備が行われたが、誘導魚雷の発達や核兵器の使用可能性の問題により、退役した。
主要な核爆雷
- アメリカ合衆国
- Mk17: W44核弾頭搭載。核出力10kt。
- アスロック: 対潜ミサイル。W44核弾頭を搭載し、弾頭部を核爆雷として使用。
- B57: B57核爆弾は信管部の交換により、核爆雷としても使用できた。
- Mark 90(ベティ): W7核弾頭搭載。
- Mark 101(ルル): W34核弾頭搭載。
- サブロック: 対潜ミサイル。W55核弾頭を搭載し、弾頭部を核爆雷として使用。
脚注
- ^ 「戦術核兵器」とは何だったのか 野木恵一 軍事研究 2010年10月号
関連項目
核爆雷
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一方、核兵器が実用化されると爆雷にも核爆発装置が用いられ、広範囲の海中を一気に無力化する核爆雷が配備されるようになった。威力が巨大なため敵に近接して起爆しさえすればよく、水中での精密誘導は必要ないため自然沈降する爆雷の形をとっている。 発射艦から爆発地点までの距離が近いと自艦にも被害が及ぶため、ある程度遠隔から攻撃する必要があり、このため投射手段はロケット(もしくは航空機からの投下)に限られた。例えば核爆雷の1つであるMk17は10キロトンの破壊力を有する弾頭を持っていた。 アメリカ軍はウィグワム作戦にてMk90核爆雷(30キロトン)を水深約600mで起爆させる試験を行った。アメリカ海軍は冷戦終結後に海上配備戦術核が廃止されたために、核爆雷は配備されていない。対潜ミサイルの項も参照。 100キロトンの核爆雷が爆発した際に発生する水柱と深度の関係。 メディアを再生する ウィグワム作戦の映像。
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