核物性の利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 07:34 UTC 版)
ベリリウムの薄いプレートやホイールは、しばしばテラー・ウラム型のような熱核爆弾において、核融合燃料に「点火」するためのトリガーである第一段階の核分裂爆弾を囲うプルトニウムピットの最外層として用いられる。このようなベリリウムの層は、239Puを爆縮させるための良好な核反応促進材であり、初期の実験的な原子炉において中性子反射減速材として利用されていたように良好な中性子反射体でもある。 ベリリウムはまた、比較的少ない中性子を必要とする原子炉規模以下の実験用途において、一般的に中性子源として用いられる。この目的のための9Beターゲット材は、210Poや226Ra、239Pu、241Amなどの放射性同位体から放出される高エネルギーなアルファ粒子を衝突させることで中性子が取り出される。このときに起こる核反応によって、9Beは12Cになり、遊離した中性子はアルファ粒子が移動するのと同じ方向へ放出される。ベリリウムはそのような中性子源として、urchinと呼ばれる中性子点火器(英語版)として初期の原子爆弾にも利用されていた。 ベリリウムは欧州連合のトーラス共同研究施設における核融合研究所においても利用されており、より高度なITERにおいてプラズマに直接接する部分の素材としても利用されている。ベリリウムはまた、その機械的、化学的、核的な物性の組み合わせのよさから、核燃料棒の被覆素材としての利用も提案されている。フッ化ベリリウムは、溶融塩原子炉設計の多くの仮定において、溶媒、減速材および冷却材としての使用が想定されている、共晶塩であるフッ化リチウムベリリウム(英語版)を構成する塩のひとつである。
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