第2次救援
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/27 15:21 UTC 版)
第2次救助隊に助けられた人々名前年齢アイザック・ドナー* 5 パティ・リード 9 トーマス・リード 4 パトリック・ブリーン† 51 マーガレット・ブリーン† 40 ジョン・ブリーン† 14 パトリック・ブリーン,Jr.† 9 ジェイムズ・ブリーン† 5 ピーター・ブリーン† 3 イザベラ・ブリーン† 1 エリザベス・グレイブス* 45 ナンシー・グレイブス† 9 ジョナサン・グレイブス† 7 フランクリン・ワード・グレイブス,Jr.* 5 エリザベス・グレイブス† 1 メアリ・ドナー† 7 ソロモン・フック 15 *途中で死亡†ジョン・スタークが救出 3月1日、第2次救助隊がトラッキー湖畔に到着した。これはおもに登山経験の豊富な者で構成され、リードとマクカッチェンが同行していた。リードは娘のパティと衰弱した息子のトーマスに再会した。ブリーン家の小屋の住人は比較的良好な状態だったが、マーフィー家の小屋は、作家のジョージ・スチュワートによれば「言葉を超え想像を絶する」状態だった。ラヴィナ・マーフィーは8歳の息子サイモンとウィリアム・エディおよびフォスターの幼い子ども2名を世話していたが、心を病み、ほとんど失明していた。子どもは元気がなく、体が汚れたまま何日も放置されていた。ルイス・キースバーグは脚を怪我して小屋にこもり切りになっており、ほとんど動けなかった。 第1次救助隊が帰ってから第2次救助隊が到着するまでの間、トラッキー湖畔で死者は出なかった。パトリック・ブリーンは2月の最終週にマーフィー夫人が訪れた際の不穏な会話について日記に書いている。それによるとマーフィー家はミルト・エリオット(2月9日に死亡)を食べることを考えていた。リードとマクカッチェンはエリオットの解体された遺体を見つけた。アルダー河畔の野営地も大差はなく、先に2人の救助隊員が同地に着いたとき、丁度トルドーが人間の脚を持ち運んでいるところだった。2人が声をかけるとトルドーはそれを雪穴に投げ捨てたが、その穴にはほとんどバラバラにされたジェイコブ・ドナーの遺体が入っていた。テントの中では、エリザベス・ドナーは食べることを拒んでいたが、彼女の子どもらは父親の肉を与えられていた。救助隊はほかに、3人の遺体がすでに食われたあとだったことを見つけた。もうひとつのテントでは、タムセン・ドナーは無事だったが、ジョージは腕の壊疽が肩まで達して重篤な状態だった。 第2次救助隊はトラッキー湖畔から17名(うち成人3名)を連れ出した。ブリーン家とグレイブス家は全員同行し、湖畔には5名だけが残った。キースバーグ、マーフィー夫人と息子のサイモン、エディの息子とフォスターの子どもである。タムセン・ドナーは、第3次救助隊がまもなく到着するとリードに聞き、臥せった夫のジョージを看て残ることにした。ドナー夫人は娘のエリザ、ジョージア、フランシスも手元に残した。 ベア渓谷への復路は捗らなかった。ある時点でリードはセリム・ウッドワース(英語版)の率いる小編成の第3次救助隊と行き会えるかと期待しつつ、最初の物資集積所から食料を回収するため2人の男を先行させた。一行が峠を越えたあとで猛烈な吹雪が襲来し、5歳のアイザック・ドナーが凍死、リードも死にかけた。メアリ・ドナーは凍傷で足の感覚を失い、足が焚き火で焼かれているのに気付かず寝入って重度の火傷を負った。嵐が去ったあと、何日も絶食していたブリーン家とグレイブス家の一同は気力体力とも尽きて起き上がれず、救助隊は彼らを置き去りにせざるを得なかった。 救助隊のうち3人は居残った。1人はトラッキー湖畔、2人はアルダー川である。その中のニコラス・クラークが狩りに出ている間に、ほかの2人、チャールズ・ケイディとチャールズ・ストーンはカリフォルニアに戻る計画を立てた。タムセン・ドナーは彼らに3人の子どもを託してカリフォルニアに連れていってもらうよう、はからった。スチュワートによれば、このとき現金500ドル(2016年換算12,900ドル)を渡したという。ケイディとストーンは子どもらをトラッキー湖畔まで連れていったがそこで置き去りにし、リードらに数日内に追いついた。数日後、クラークとトルドーは組んで脱出することにした。そこでトラッキー湖畔に来たところ、ドナー家の娘たちが居るのに気付き、アルダー河畔に引き返してタムセン・ドナーに知らせた。 かんじき隊の生き残りであるウィリアム・フォスターとウィリアム・エディは、ジョン・スタークという男とともにリードを迎えにベア渓谷を発ち、翌日リードに出会った。そのときリードは、全員凍傷で出血しつつも、まだ生きている自分の子どもを助けようとしていた。フォスターとエディは自分たちの子どもを助けようと必死になり、4人の男にトラッキー湖畔まで一緒に戻ってくれるよう金を渡して懇願した。その道中半ばで彼らは雑に解体されて食われた子ども2人とグレイブス夫人の遺体を発見。グレイブス夫人の娘である1歳のエリザベス・グレイブスは母親の遺体の傍で泣いていた。焚き火が雪を溶かしてできた穴の中で、11人の生存者が火の周りに密集していた。救助隊は二手に分かれ、フォスター、エディとほか2名はそのままトラッキー湖畔に向かい、ほかの隊員2名はもっとも元気そうな者だけでも救おうと子どもを1人ずつ連れて引き返した。ジョン・スタークはほかの者を置き去りにすることを拒み、2人の子どもとすべての荷物を自ら抱え、ブリーン家とグレイブス家の生存者9人を助けてベア渓谷に戻った。
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