発明の成立性と特許法第104条の3とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 発明の成立性と特許法第104条の3の意味・解説 

発明の成立性と特許法第104条の3

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/13 15:16 UTC 版)

ソフトウェア特許」の記事における「発明の成立性と特許法第104条の3」の解説

いわゆるキルビー判決債務不存在確認請求(平成10年(オ)第364号)最高裁平成12年4月11日第三小法廷判決において、「特許無効審決確定する以前であっても特許権侵害訴訟審理する裁判所は、特許無効理由存在することが明らかであるか否かについて判断することができると解すべきであり、審理結果当該特許無効理由存在することが明らかであるときは、その特許権に基づく差止め損害賠償等の請求は、特段事情がない限り権利の濫用に当たり許されない」旨が判示され、従来大審院判例(大正5年(オ)第1033号)が変更された。これにより、権利濫用抗弁が、知財訴訟においても認められるようになった。 そして、この特許権などの侵害訴訟特許無効審判等との関係を整理するために、平成16年特許法改正特許庁による改正ではなく裁判所法等の一部改正する法律平成16年法律120号)による一部改正)において、特許法104条の3の規定設けられた。これは、(特許権者等の権利行使制限)として「特許権又は専用実施権侵害係る訴訟において、当該特許特許無効審判により無効にされるべきものと認められるときは、特許権者又は専用実施権者は、相手方に対してその権利行使することができない」旨が規定されたものである。 この特許法改正に関しては、過去訴訟係る特許権無効理由数多く存在したことも影響していると考えられる。たとえば、アルゼ株式会社の「スロットマシン」の特許権(特許第1855980号)に基づく損害賠償請求事件(平成11年(ワ)第23945号)東京地裁平成14年3月19日判決では、サミー株式会社74億円余の支払い命じたものの、その特許無効審判全部無効とされ、その後審決取消請求行政訴訟(平成15年(行ケ)第36号)東京高裁平成17年2月21日判決により、当該特許無効確定したこのような事例相次いだことにより、特許権などの侵害訴訟特許無効審判等との関係を整理するために設けられ規定である。 上記のように、ビジネス形態主眼とした「ソフトウェア特許においては多く場合取引形態や、商取引方法など、ビジネスの手法に主眼置かれているため、コンピュータソフトウェア構成部分については、各機能手段が、中身空虚なブロックとして形式的に記載されるだけのものが多い。特許要件根拠となる基本的な部分が全く記載されていない場合等には、基本的な意味自然法則に基づく技術的思想そのもの構成されていないことになる。このような自然法則利用した自然力有しているとはいえない発明や、実施例において具体的なしくみが全く記載されていないような発明については、コンピュータ・ソフトウェアとしての特許要件満たすことにはならないため、訂正によっても補正不能な明らかに無効な特許権行使である場合該当し権利濫用該当する判断される可能性がある。 たとえば、発明成立性と権利濫用例については、実用新案権侵害差止請求事件(平成14年(ワ)第5502号)東京地裁平成15年1月20日判決控訴中)において、 『上記本件考案は、専ら一定の経済法則ないし会計法則を利用した人間精神活動そのもの対象とする創作であり、自然法則利用した創作ということはできない』として、本質的な考案特徴部分には自然法則に基づく技術的な構成含まれていないから、権利無効であり、権利行使できない判断された。 また、最近の例では、特許法104条の3を用いた権利行使制限抗弁によって、「一太郎特許権侵害差止請求控訴事件(平成17(ネ)10040)知的財産高等裁判所平成17年9月30日大合議判決では、株式会社ジャストシステム松下電器産業株式会社逆転勝訴することができた。この場合においては株式会社ジャストシステム松下電器産業株式会社特許権進歩性欠如有していることを証明したことで、松下電器産業株式会社控訴人)の権利の行使認められなかったものである参考文献 「“一太郎花子特許権侵害差止請求控訴事件

※この「発明の成立性と特許法第104条の3」の解説は、「ソフトウェア特許」の解説の一部です。
「発明の成立性と特許法第104条の3」を含む「ソフトウェア特許」の記事については、「ソフトウェア特許」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「発明の成立性と特許法第104条の3」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「発明の成立性と特許法第104条の3」の関連用語

発明の成立性と特許法第104条の3のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



発明の成立性と特許法第104条の3のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのソフトウェア特許 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS