権利の濫用(けんりのらんよう)
権利の濫用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/07 02:37 UTC 版)
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする(第16条)。判例(日本食塩製造事件、最判昭和50年4月25日)で確立している、いわゆる解雇権濫用法理を法律上明定したものである。国際労働機関158号条約に対応する。 「不当解雇」も参照 使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする(第14条)。ここでいう「出向」とは、いわゆる在籍型出向をいう(いわゆる「移籍型出向」は、そもそも業務命令になじまない)。「使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において」とは、労働契約を締結することにより直ちに使用者が出向を命ずることができるものではなく、どのような場合に使用者が出向を命ずることができるのかについては、個別具体的な事案に応じて判断されるものである。なお、これらの要件を満たしている限り、対象労働者個別の同意を得ること自体は不要とされている。 使用者による労働者への懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする(第15条)。ここでいう「懲戒」は、労働基準法第89条9号でいう「制裁」と同義であり、当該事業場に懲戒の定めがある場合には、その種類及び程度について就業規則に記載することが義務付けられる。
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