発掘・復元
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公開後60年が過ぎた1990年代に、本作の公開当時に家庭用として普及されたパテベビー用の9.5mmフィルムによる21分尺の短縮編集版の存在がわかり、映画批評家の山根貞男の協力により、大阪のプラネット映画資料図書館がこれを35mmフィルムに復元、1996年(平成8年)に行なわれた第9回東京国際映画祭の「ニッポン・シネマ・クラシック」部門で上映された。この35mmフィルムによる復元版プリントは、東京国立近代美術館フィルムセンターにも所蔵されて1999年(平成11年)に同センターで上映されている。発掘されたプリントによれば、瀬川路三郎が演じた浪人甲が「尾羽内烏之亟」(おばね うちからすのじょう)、渥美秀一郎が演じた浪人乙が「伊賀左馬亮」(いか さまのすけ)という役名でそれぞれクレジットされている。同復元版35mmプリントの上映上の問題点は、フィルムスピードが「18fps」である点で、トーキー以降の通常の35mm用映写機は「24fps」であり、速度切替機能のない映写機ではオリジナルスピードでの上映が不可能である点である。そこで名古屋シネマテークでの上映に際し、「18fps」あるいは「24fps」で上映できる16mm用映写機のために16mmフィルムによるプリントも作成された。84分尺のオリジナルに対して、25%の長さに相当する21分尺のこの復元版には、贋者と本物の伊勢伊勢守の対面と最初の試合、本物が敗北して仙人のもとで修行するシーンが含まれている。同復元版は、2001年(平成13年)にイタリアで行われた第20回ポルデノーネ無声映画祭での「日本のサイレント映画」特集でも、同年10月15日に上映されている。 一方、この短縮版21分が発掘される以前から、マツダ映画社は松田春翠(二代目、1925年 - 1987年)のコレクションによる「8分尺」の上映用プリントの断片を所有している。「21分尺」のプラネット/フィルムセンター版と「8分尺」のマツダ版の両方を上映・説明した活動写真弁士の片岡一郎の指摘によれば、前者には最初の試合シーンは存在するが、後者には前者に存在しない「贋者」と修行後の「伊勢伊勢守」とのラストの試合シーンが存在するという。このことから、内田吐夢が監督した『土』について、東ドイツ(現在のドイツ)の国立映画保存所版93分とロシアのゴスフィルモフォンド版24分をあわせて117分の「最長版」をフィルムセンターが作成した実績、あるいは溝口健二が監督した『瀧の白糸』について、谷天朗寄贈のフィルムセンター版と京都府京都文化博物館所蔵・共和教育映画所蔵版とをあわせて102分の「最長版」をフィルムセンターが作成した実績等もあり、同様の手法による『國士無双』の最長版の実現の重要性を片岡は主張している。1986年(昭和61年)に公開されたリメイク版『国士無双』を監督した保坂延彦によれば、同作の製作を開始するにあたって観た、1982年(昭和57年)ころの時点でのマツダ映画社版は「2分50秒尺」であったという。 2013年(平成25年)1月現在、本作のビデオグラムについては、単独では存在しておらず、保坂版リメイク『国士無双』のDVDにプラネット/フィルムセンター版からの部分抜粋で収録されたもの、松田春翠製作・演出によるドキュメンタリー映画『阪妻 - 阪東妻三郎の生涯』のDVDにマツダ映画社版からの部分抜粋で収録されたもののみである。
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