用途による区分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/11 07:50 UTC 版)
油彩額 油絵用の額。大半が本縁で、木製のものが多い。枠・ガラス(アクリル)・入れ子・裏板の構造になっており、入れ子と裏板の間にカンバスを入れる形になる。こうすることで絵の表面とガラスとを触れさせずに済む。また、厚みのあるものを入れるためドロ足(ドロあし)と呼ばれる角材を背面に取り付けており、これによって深さを増している。デザインは豊富で、色は金・銀・茶などが多い。 仮縁(かりぶち) 枠のみでガラスも裏板もない、油絵用の額。主に展覧会などで使用される。木製と金属製のものがあり、特に金属製のものはネジを使って自分で組み立てるタイプが多い。どちらも単にカンバスをはめ込むだけであるため、作品の保護には向いていない。また、カンバスは外れないようにタッカーやネジなどで止める。 デッサン額 水彩画やリトグラフ、写真、刺繍など、幅広い分野に使われる額。厚みのあるものには向いていない。材質やデザインは様々で、枠・ガラス(アクリル)・裏板の構造になっており、ガラスと裏板の間に絵を入れる。大抵の場合、マットと呼ばれる厚さ2ミリほどの中抜きした台紙をガラスと絵の間に挟む。これは絵とガラスを密着させないためと見映えを良くするためのもので、油彩額などの入れ子と同様の役割を果たす。 和額 日本画、色紙、短冊、書、水墨画などを入れる額の総称。特に、色紙を入れるものは色紙額、短冊を入れるものは短冊額と呼ばれる。枠は木製か金属製が多く、入れ子は紺、臙脂、鶯色、灰色などが多い。入れ子があるものとないものとがあり、入れ子がないものは布地を貼った裏板が使われていることが多く、書や水墨画などをそこに直接裏打ちすることもできる。また、木製パネルに描かれた日本画などをそのまま額装できるものもある。色紙額 色紙を入れるための額。 短冊額 短歌や俳句などを詠んだ短冊を入れるための長細い額。 賞状額 賞状用の額。木製のものが多く、枠・ガラス(アクリル)・裏板の構造になっている。サイズも賞状に合わせてあるため、そのまま入れることが多い。賞状のサイズによってはマットを入れることもある。デザインの種類は少ない。 光沢のある光輝、茶色の縞模様の金ラック、艶消しの金色のフレームの金消しがある。 また賞状額の場合、額の四隅にボール紙がホッチキスで止められていることが多いが、これは保護を目的としたものであるため飾る際には外す必要がある。 証書額 証書用の額。 叙勲額・叙位額・褒章額 勲記・勲章や、位記、褒章などを入れる額。一つの額に勲記と勲章の両方を額装できるものが一般的だが、それらを分けて個別に額装できるタイプのものもある。基本的に枠・ガラス(アクリル)・入れ子・裏板の構造になっており、入れ子は勲章などを固定できるようになっている。また、額全体が賞状額と比べしっかりした作りになっているため高級感がある。 ポスターパネル ポスターなどの薄い印刷物を入れる額。枠・塩化ビニル樹脂板・スチレンボード(あるいは段ボールなど)の構造になっているものが多く、塩ビ板とスチレンボードの間に挟む。紙のA判・B判のサイズに合わせてあるため、マットは通常使用しない。枠はアルミ製が多く、デザインもシンプルなものが多い。大きさのわりに軽いのが利点。 写真額(写真パネル) フォトフレーム 写真立て。基本的には枠・ガラス(アクリル)・裏板の構造になっているが、写真が入れば良いためその構造はまちまちで枠の材質も様々。ポストカードを入れることもある。楕円形のものやハート型のものがあったりとデザインは豊富。ただし、ガラスと写真が密着する構造のものが多いため、本格的な写真を入れるのには向いていない。 遺影額 遺影を入れるための額。構造はデッサン額と大差ないことが多いが、和額の様にマットや入れ子に緞子布を使用している物もある。 手ぬぐい額 手ぬぐいを入れて飾るための額。ガラス(アクリル)と裏板の間に中板があり、その中板に手ぬぐいを固定して額装する。構造としては、中板以外はデッサン額と変わりない。 押し花額 押し花を入れて飾るための額。ガラスをキャンバス代わりにし、乾燥剤(シリカゲル)で押し花を保護する。 その他 上記の他にも完成したジグソーパズルを飾るための専用の額や有名選手のユニフォームなどを入れて飾るユニフォーム用の額のように「ある特定のもの」専用に作られた額があるが、基本的な構造には大差ないことが多い。また、木製パネルに描かれた日本画を油彩額に額装したり、水墨画や書などをデッサン額に額装したりというようなこともあるため、油彩額であっても実際に油絵専用に使用されるというわけではない。
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