用途と適用例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 14:07 UTC 版)
AHP(階層分析法)は個人的な決定問題で大いに役立つが、複雑な決定問題に取り組む集団意思決定場面で大きな効果を発揮する。例えば利害関係がある場合、人間の認知や判断に頼らざるを得ない場合、さらにはその結果が長期にわたり影響を与える場合に大きな成果をあげている。また意思決定に必要とされる要因が比較も数量化も難しい場合や、専門性や用語あるいは立場の違いにより集団内でのコミュニケーションが妨げられる場合などにも強い意思決定法である。 AHPの活用場面として次が挙げられる。 選択 - 複数の代替案の中から1つの代替案を選択する。多くの場合、複数の評価基準による選択を指す。 順位付け - 代替案を最も望ましくないものから順に並べる。 優先順位付け - 各代替案に対し、代替案間での相対的な重要度を決定する。 資源配分 - 代替案間で資源を配分する。 ベンチマーク - 他の組織の優れたやり方を、自分の組織のやり方と比較する。 品質マネジメント - 多次元からみた品質のあり方や品質改善を扱う。 複雑な意思決定場面での AHP の活用例は何千件にも達しており、計画、資源配分、優先順位の設定、代替案間での選択など広範囲にわたり多くの成果が得られている。これらの他にも、予測、総合的品質マネジメント、ビジネスプロセス・リエンジニアリング、品質機能展開、バランス・スコアカードでの利用がある。一流企業での活用例も多く見られるが、セキュリティーやプライバシーを理由に一般には公表されていない。文献で閲覧できる活用例としては、近いところでは以下がある。 世界的な気候変動の影響を減らす最良の方法は何か(Fondazione Eni Enrico Mattei) ソフトウェアシステムの総合品質の数量化(マイクロソフト株式会社) 大学教授の選抜(Bloomsburg University of Pennsylvania) 海外製造工場の建設場所の選定(ケンブリッジの大学) 全国を横断する石油パイプライン運用のリスク査定(アメリカ土木学会) アメリカ合衆国の分水点に関する最良なマネジメント法の策定(アメリカ農務省) AHP は歴史的重要性から見た建造物評価といった、特定状況下における具体的な作業手順の立案にも活用されている。バージニアのハイウェーの状態を評価することを目的としたビデオ映像による最近のプロジェクトにも活用されている。このプロジェクトでは、国会議員による予算決定に先立ち、ハイウェー技術師たちがAHPを活用して最適な事業範囲を決めている。
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