用途と神話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/25 07:18 UTC 版)
葉と若枝は薬草商の取り扱う商品であり、ヨーロッパ、特にドイツでは循環器・呼吸器系の疾患や腫瘍・悪性腫瘍の処置に利用される。 北欧神話では象徴的に扱われている。西欧の近代的な風習にみられる、祭日の飾りとして掛けたヤドリギの束の下でのキスはそれらに由来する。バルドル神はヤドリギで作られた剣によって命を落とした。ケルト神話やドルイドの儀式では解毒薬として扱われるが、果実に触れると敏感な人はツタウルシ (poison ivy) の場合と似た発疹を起こすため、植物としては毒性のあるものと考えられている。 ルーマニアの伝統ではヤドリギ(ルーマニア語でvâsc)は幸運の源とされる。薬効やそこから想像される魔法的な性質はいまだに利用されており、田舎において特に顕著である。この慣習はダキア人から受け継がれている。 樹皮の下を探りまわり、水や栄養を吸い取ることによって渇きを満たしていることから、ヤドリギはしばしば「吸血鬼の木 (vampire plant)」とあだ名される。ウィリアム・シェイクスピアは『タイタス・アンドロニカス』第2幕場面1にて粉飾なくこれに触れている。 — Overcome with moss and baleful mistletoe; 今日ではクリスマスの飾りとして広く用いられる。ヨーロッパではオウシュウヤドリギが、北アメリカでは Oak Mistletoe が使われる。クリスマスでの風習の1つとして、ヤドリギの飾りの下で出会った2人はキスしなければいけない、というものがある。 2004年にオクラホマ・ローズと入れ替わるまで、ヤドリギはオクラホマ州の州の花であった。紋章には2019年現在も使われている。 北欧神話のミスティルテインはヤドリギの剣であり、ドルイドはヤドリギの下で儀式を執り行った。またイタリアのネミにおけるヤドリギ信仰が金枝篇にて述べられている。フィクションにおいては、漫画アステリックスでオークからとったヤドリギは特に質の良いものとして扱われている。 日本ではこのような伝承はなく、特に注目されることはない。ただ、ケヤキなどに寄生しているものは、冬季の落葉時にひどくよく目立つので、冬季のちょっと変わった景色として認識されている。都市周辺や屋敷林などによく見かける風景である。
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