現状と詳細、その他
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 21:59 UTC 版)
今までは、料亭というと未知で閉ざされた空間とされてきたが、21世紀以降では全国的に開放されて、かつて縁のなかった庶民層の利用が増えてきている(「一見さんお断り」も一部に厳然としてあるので注意が必要)。その背景には、バブル崩壊や官官接待の激減があげられる。1990年代後半までは、企業間の接待や政財界人の利用、官官接待が毎日のように行われてきたが、時代の変化や公務員・政治家の料亭利用に対する世論の批判が高まったことにより、現在ではほとんど行われなくなったために、全国の料亭は一般に利用しやすい価格にしたり、スタイルを変えたり、様々なプランやイベントを行ったりし、顧客の誘致をしている。また、近年では大規模な料亭では、結婚式・披露宴に力を注ぐ光景も全国的に見られる。 しかし、利用状況の激変、利用客の低下により、閉店してしまう料亭も多い。その原因は、料亭側・利用客側双方にあるという見方もある。まず、料亭側は、急激な時代の流れそのものに対応できなかった事と、気位(プライド)の高さからなかなか大衆化できないことが挙げられる。また利用する客側においても、急に利用しだしたために使い方がわからなかったり、料理の内容や料亭の意味・意義が理解できていないことを挙げることができる。 利用料金は、基本的には高価である。料理+飲み物+席料(または部屋代)+サービス料(または奉仕料)+税が基本で、芸妓衆を呼べばその代金が加算される。各代金は、それぞれの店や地方によって異なるが、先にも述べたように利用しやすい料金形態になってきているので、すべて込みのプランやセットになった企画も多数ある。 高価・高級というのも料亭の主なイメージである。主役の料理ひとつ取っても、選りすぐりの高級食材を多用し、座敷のつくり、しつらえ、調度品、行き届いたサービス、伝統芸能、その数々が、他の料理店や飲食店と違うところであり、高級の由来である。例を挙げれば、建物や座敷は現代のテナント業者によるものではなく伝統的な数寄屋造りや日本建築からなる。器は著名な窯や作者によるものを使用したりしている。座敷の掛け軸や絵画、調度品などは日本でも屈指の作家の本物が置いてあることも珍しくはない。このような調度品は季節や来店時の客の目的等に応じて架け替えられたりと配慮される。 料理は純日本料理だがその日に応じて野菜・魚・肉など最高のものが準備され数日前から支度がはじまり丹念に仕込まれて当日に出される。予約が必要と言うのはこのためで、座敷や料理に時間が必要であるからである。 それらの素材の高さもさることながら料理に従事する者の料理における技術の高さも必要であり、最低でも10年の修行を経てようやく仕事が内外から認められるようになり、それ相当になるにはさらに期間が必要である。 また料亭は、日本料理を堪能したり、接待や会食の場に利用したり、芸妓衆の舞の鑑賞やお座敷遊びなどの通常の用途の他に、しばしば展示会や各種の催し物の会場にも使われる。
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