現代リベラリズム
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アメリカ合衆国が設立された当時は社会や政治への関心がアメリカの哲学を支配していたが、分析哲学者達は認識論的な問題、言語や科学に関する問題や概念を主に扱っていたため、アメリカの哲学において1970年代まであまり社会や政治といった「実践」の問題には十分に関心を払われていなかったが、冷戦の終わりとほぼ時期を同じくして政治と社会に対する関心へ回帰する潮流が生まれる。 1971年、ジョン・ロールズはその著書『正義論』を出版した。この本では社会契約論の一形態に基づくロールズの「公正さとしての正義」観を披瀝した。ロールズは彼の概念の原点を説明するために「無知のベール」と呼ぶ概念機構の利用を提案した。ロールズの哲学では、原初状態がトマス・ホッブズの自然状態に対する相互関係である。この原初状態では、人は無知のベールの影にあると言われ、それは人それぞれの性格に気付かず、人種、宗教、富などの社会における位置を気付かせないようにしている。公正の原則はこの原初状態にある間に分別のある人によって選ばれる。公正の2つの原則は平等な自由の原則と社会および経済的不平等の分布を支配する原則である。ここからロールズは格差原理に従う配分の公正の仕組みを論じ、社会および経済的不平等全ては最小の利点のある最大の恩恵であらねばならないと言っている。 自由意志論者ロバート・ノージックはロールズの考えを政府による過度の統治と権利侵害を促進していると見なし、1974年に『アナーキー・国家・ユートピア』を出版した。この本では、最小の国家を論じ、個人の自由を防衛している。政府の役割は警察の保護、国家防衛および裁判所の管理に限定し、現代政府によって通常に行われている他の任務、すなわち教育、社会保障、福祉等々は、宗教団体や慈善団体など自由市場で運営される民間組織に取って代わられるべきだと主張している。ノージックはその見解を公正さの授権理論と主張し、もし社会の誰もが獲得、移行および調整の原則に従ってその所有物を獲得するならば、その配分が如何に不公平であろうとも割り付けのパターンは公正であるとしている。公正さの授権理論は「分配の公正さが実際にある歴史的状況によって決定されるが(終局状態理論の反対)、最も一生懸命に働いた者あるいは最も分け前に値する者が一番の分け前を得られることを保証する如何なるパターンとも関係を持たない」と主張している。 アラスデア・マッキンタイアはイギリスで生まれ教育を受けたが、アメリカ合衆国に40年間ほど生活し働いた。マッキンタイアは古代ギリシアにおいて提唱された道徳論である徳倫理学に関する関心を再生させた功績のある、卓越したトマス・アクィナス主義政治哲学者と考えられている。「現代の哲学と現代の生活は理路整然とした道徳法の欠如によって特徴付けられ、この世界に住む大半の個人はその人生に意味ある目的感が無く、純粋な社会も欠けている」と主張している。マッキンタイアはこのような状態を正すための適切な方法は個人が適切に美徳を獲得できる純粋に政治的な社会に戻ることであると考えている。 学術的哲学とは別に、政治と社会の関心は公民権運動とマーティン・ルーサー・キング・ジュニアの著作が中心的話題になった。
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