現代ロシア文学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 19:49 UTC 版)
20世紀末には、ロシア文学は難しい局面を迎える――数十年間に及ぶソ連の社会主義によって損なわれた土壌の再生の局面である。この時期に必要とされたことが2つあった。新しい才能の育成と発見および、ロシアにおける出版市場の創出である。出版社は成長のための資金を、三流の小説を売ることで獲得した。ヴィクトル・ペレーヴィンやウラジーミル・ソローキンのように頭角を現す作家は僅かであった。出版社は、共産主義時代の重苦しい作品や、サミズダートにより知られていた作品などはほとんど出版しなかった。 ロシアの出版社にとっての金の卵は、他国同様、推理小説であった。ダリヤ・ドンツォヴァ(ロシア語版)の皮肉の込められた推理小説は大成功を収めた。ドンツォヴァの50に及ぶ推理小説は数百万部を売り上げ、ヨーロッパ諸語へも翻訳された。 21世紀初頭には、ロシア語出版の需要は、質と量の双方で大きく増大した。その結果、ロシアの出版界は「ロシアの悲劇四部作」で知られるエドワード・ラジンスキー等の新しい文学的才能を発掘し、報酬を与えることで顧客に作品を供給しなければならないようになった。出版社と部数は増加を続けている。 タチヤーナ・トルスタヤ(ロシア語版)やリュドミラ・ウリツカヤといった一部のロシア作家たちは今では西ヨーロッパや北アメリカでも人気となっている。ボリス・アクーニンの探偵小説『エラスト・ファンドーリン(ロシア語版)』シリーズはヨーロッパや北アメリカでも刊行されている。ロシア最大の探偵小説作家アレクサンドラ・マリーニナも、その作品をヨーロッパで売ることに成功しており、特にドイツで大きな成功を収めている。 より伝統的な文学も、地方のインテリの日々の困難と喜びの物語を書くペルミの作家ニーナ・ゴルラノヴァ(ロシア語版)や、チュクチのアイデンティティの問題を語るチュクチ自治管区の作家ユーリー・ルィトヘウ(ロシア語版)といった遠隔地出身の作家たちの到来によって新しい飛躍を迎えている。 ドミトリー・グルホフスキーやセルゲイ・ルキヤネンコといった作家はサイエンス・フィクションで成功を収め、映画化やコンピュータゲーム化もされている。
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