特定選手に向けられたとする見方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 08:43 UTC 版)
「浦和レッズ差別横断幕事件」の記事における「特定選手に向けられたとする見方」の解説
当該横断幕は、シーズン開幕前に浦和に移籍してきた李忠成に向けられたものではないかとの見方があり、前述の槙野智章もツイッターに「浦和という看板を背負い、袖を通して一生懸命闘い、誇りをもってこのチームで闘う選手に対してこれはない。(以下略)」と綴っていることから、横断幕が特定の選手に向けられたものだと認識する者も少なくない。複数の韓国メディアは「横断幕は李に直接向けられたもの」と分析した。 李自身も横断幕は自分に対してのメッセージと分析している。その理由についてサッカージャーナリストの轡田哲朗は、浦和サポーターには「新加入選手を無条件には受け入れず、活躍を示してから声援が大きくなる」という傾向があるとした上で、サウサンプトンFC在籍時の負傷によりコンディションを崩し加入後も肋骨の骨折により結果を出していなかったこと、浦和にサンフレッチェ広島F.C出身の選手の加入が続いていたことなどを挙げ、韓国から帰化した選手という点については理由のひとつとした。 浦和のサポーターグループのいくつかに嫌韓の傾向があったことが要因との指摘がある。『月刊浦和レッズマガジン』2014年3月号でインタビューを受けた『URAWA BOYS』初代リーダーの男性は、「浦和のウルトラは韓国が嫌いだからね。ウチの歴史にはないことだから、最初はいろんな反応が渦巻くと思う。クラブのスタッフが本人(李)に伝えているそうだけど、本人が相当の覚悟を持って浦和に来るということは僕も感じるんだよね」と発言 するなど、一部のサポーターグループ間に嫌韓の意識が存在していたことや、クラブ側がそれを把握しており李本人に伝えたとの事実を仄めかした。その一方で「そういう選手(李)に対して頭ごなしに『ダメだ』とは思えない」、あるいは「昔はチョウさん(曺貴裁)がいたけれど、今ほど嫌韓の雰囲気はなかった」とも発言している。 この事件を受け、サッカージャーナリストの清義明が著書『サッカーと愛国』の中で、浦和レッズの元社長である犬飼基昭が過去に、「韓国人選手をチームに入れることは韓国代表の強化につながるので、浦和レッズに韓国人選手をチームに入れることはない」と明言していた例をあげ、それがサポーターとの間で(事件発生当時には)了解事項とされていたのではないかと推測している。この浦和の嫌韓の風潮を李自身も知り、覚悟してチームに入ったという李の実父からの証言も紹介している。 サッカージャーナリストの加部究も『月刊浦和レッズマガジン』2014年3月号のインタビュー記事と横断幕事件を絡め「李を獲得すれば波紋を呼ぶことを示唆している。(中略)既に火種があることを知っていて何も手を打たず、必然的に事件は起こった」と断定。また、ホーム開幕の鳥栖戦において李がブーイングを受けた ことを絡め、「『Japanese Only』が欧州や南米に向けられたのではないことは明白である。そういう意味でも非常に性質の悪い『人種差別』だと断じるべきだ」などと評した。 2014年3月18日付けの韓国の日刊紙『中央日報』は、「問題の横断幕は『自分のチーム』所属の在日同胞4世の李忠成を狙った」と報じた。また、中国のスポーツメディア『新浪体育』は「李は日本国籍の有無や、日本人であるか否かに関係なく、かつて韓国人だったという理由だけで否定された」「日本の右翼保守的な風潮は、今やサッカー場にまで及んでいる」などとする韓国メディア『FOOTBALLIST』のコラムを掲載した。 『週刊朝日』2014年3月28日号は、あるサッカー記者のコメントを引用し「浦和は平均3万人以上の観客動員力を誇るが、それがサポーターを甘やかし増長する環境を作った側面もある。李忠成の加入に対する反感はチーム関係者とサポーターが馴れ合いの関係になっていることの表れ」などと評した。
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