とくてい‐ぼうかたいしょうぶつ〔‐バウクワタイシヤウブツ〕【特定防火対象物】
特定防火対象物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/24 03:08 UTC 版)
特定防火対象物(特防、特定防対とも)とは、下記令別表第一におけるもののうち法第17条の2の5に定められている防火対象物で、「多数の者が出入りするものとして政令で定めるもの」と規定されている。ただし、多数の者が出入りすると言っても、たとえば従業員が1000人以上の工場などは含まれず、その防火対象物を利用する個人が定まっていないもの(不特定多数の者が出入りする防火対象物)が該当する。そのほか、火災が発生したときに避難等が困難であり人命に多大な被害を出すおそれが十分にあるものとして、各種福祉施設(老人ホーム・デイサービスセンター等の高齢者福祉施設、保育園・幼稚園等の児童福祉施設、養護学校・援護施設等の障害者福祉施設)や病院等が該当している。具体的な対象物は下記令別表第一を参照。 特防に該当する対象物では、延べ面積によって必要となる消防用設備等の条件が厳しく規定されている、消防用設備等の点検報告を毎年行わなければならない、防火管理者の該当要件が厳しく規定されている(収容人員10人以上など)、一部の防火対象物においては「防火対象物定期点検報告制度」が義務づけられるなど火災予防のための厳しい措置や規制が多く掛けられている。また、特定防火対象物における消防用設備等の条件について法令の変更があった場合、当該変更は既存の特定防火対象物に対しても遡及適用される。 前記の特定防火対象物に該当しない対象物はすべて非特定防火対象物(非特防、非特定とも)とされ、消防用設備等の設置に緩和がある、一部を除き消防用設備等の点検報告が3年に1度でよい、防火管理者の該当要件が緩和されるなど特定防火対象物に比べて規制は緩やかになっている。なお、図書館や美術館等はその特性上(収容物の価値やその保全の必要性等)からほかと比べて管理が行き届いているものとみなされ、不特定の人間が出入りするものの非特防に分類されている。同様にレストランや食堂、売店などが存在しない駅やターミナルやフェリー乗り場なども、利用者の目的が乗降のためであること、施設の目的や利用形態から安全に配慮した設計(広い開口部や施設内空間を持つこと、通路障害となる物が設置されていないなど)になっていること、比較的規模が大きな建物では施設内を熟知した専属職員(駅員や誘導員、案内係など)が配置されており非常時の初期対応が期待できることなどから非特防に分類されている。ただし、売店や食堂などが併設されている駅でもそれらが改札内にある通称「駅ナカ」については「売店・食堂・案内所は駅舎内部に必然的に存在する『機能従属用途』であるため(後述の複合用途防火対象物としては捉えずに)単体の防火対象物として扱う」との総務省消防庁の通達(昭和50年4月15日付け消防予41号および消防安41号)が出されている。これにより、改札外に売店や食堂などが併設されている「ターミナルビル」については後述の複合用途防火対象物として取り扱われる。
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