海洋深層水を利用した商品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/17 03:48 UTC 版)
「海洋深層水」の記事における「海洋深層水を利用した商品」の解説
細菌学的にも化学的にも清浄、ミネラルが豊富な海洋深層水に着目した化粧品、飲料、食品業界などが、これを化粧品、バスグッズ、入浴剤、飲料水、アルコール類、水産加工食品などとして商品化している。 海洋深層水は、人が生きるために不可欠なミネラル分を陸水よりも多種類含むだけでなく、陸水のようにダイオキシン等の有害化学物質に汚染されていないという特性を持っており、その利活用方法は単純に飲料水に留まるものではない。 富山県農林水産総合技術センター食品研究所が大豆や里芋の加工時に出るヌメリが減るという実験結果を発表した。これはカルシウムやマグネシウムを含むためである。 しかし、魚介類や大豆などと比較して海洋深層水に含まれるカルシウム、カリウム、マグネシウムといったミネラルはごく微量であり、特に健康増進の効果は確認されていない。ミネラルウォーターも同様である。例えば1日のカルシウム必要量を補うためには、海洋深層水を数十リットルから数百リットル飲む必要がある。 各取水地では、その特性を活かすべく産学官の連携により様々な研究開発を行っている。その成果を特許として保護し、他の企業や取水地と差別化を図る努力が行われている。特許の都道府県別の出願件数は、東京、高知、富山の順となっており、他の取水地の企業は先行したこれらの特許に抵触しない製品開発を迫られている。これは韓国でも同様であり、本格取水開始前から特許の取得が競われており、先行した日本の研究開発や特許出願を参考に短期間で数多くの特許が出願されている。 注意-1 : 海洋深層水は海水であるため、食品加工や添加物等に用いるのではなく、単純に飲料水に用いる場合はそのままでは飲用には適さない。飲料水として利用する場合は、塩分を除去したり、ミネラル分を濃縮した上で陸水を添加したりして製品化している。 ただし、深層水の取水が始まり、商品化が流通し始めたころには、一部業者が、海洋学上の海洋深層水の神秘的イメージや科学的に証明されていない「数千年間かけて熟成された水」等のイメージをPRに利用したり、或いは科学的根拠を用いることなく海洋深層水という名前だけで健康に良くあたかも病気にも効くというような、薬事法に抵触するような販売手法をとった。 このような反社会的商品の根絶を図るため、2001年(平成13年)12月には公正取引委員会からガイドラインとして「飲用海洋深層水の表示について」が示されほか、良心的な事業者団体では独自のブランドマークを付与したりして、海洋深層水商品のイメージ保護に努めている。 現在では一時的な深層水ブームにのって生産されていたこのような製品は淘汰されつつある。これは飲料以外の深層水利用商品についても同様である。 注意-2 : 富山県深層水協議会では専門家による審査を経て、海洋深層水の利用効果が認められた商品にだけ有料で「富山の深層水」ブランドマーク(商標登録済)の使用を許可している。 注意-3 : 海洋深層水利用として販売されている飲料水は、海水淡水化プラント(電気透析やRO膜)により塩分を取り除き、主にそのミネラル分を利用して製造されている。その製造方法は主に次の3種類に分けられる。海洋深層水から塩分を取り除きミネラル分を濃縮した上で、陸水に添加し商品化したもの。 単純に塩分だけを取り除き、商品化したもの。 ニガリ成分だけを取りだし原料とし、陸水に添加したもの。 1.の製法により製造される製品は、ダイエット、スポーツ後のミネラル分補給、コーヒー・紅茶の飲用など目的に合わせてミネラル分を調整した製品作りが可能である。富山県の企業では、目的別に5種類の硬度の製品を開発・販売している。
※この「海洋深層水を利用した商品」の解説は、「海洋深層水」の解説の一部です。
「海洋深層水を利用した商品」を含む「海洋深層水」の記事については、「海洋深層水」の概要を参照ください。
- 海洋深層水を利用した商品のページへのリンク