海洋深層水の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 22:46 UTC 版)
一般的な表層水との違いは、清浄性、低温安定性、栄養塩が豊富という特徴を有することである。 清浄性 陸水の影響を受けにくいため、産業排水等に含まれる人為的な化学物質による汚染がほとんどない。また、太陽光が届かないため植物プランクトン等が成育できないことに加え、低温であるため、有害な雑菌等も表層水の千分の一以下と少ないことが特徴である。このため、深層水は表層水に比べて細菌学的にも化学的にもはるかに清浄である。ただし、日本の衛生基準と比較すれば「汚れている」ため、飲料水とするためには濾過が必須である。 栄養塩が豊富 一般的な暖流(黒潮等)の表層水に比べて、植物プランクトンの成長に必要な無機栄養塩(NO3-硝酸態窒素、PO4-リン酸態リン、Si ケイ素)が豊富である。これは海洋深層水中の植物プランクトンが少ないために、表層から沈降してくるプランクトンや魚類等の死骸が分解されて生じた栄養塩が消費されずに残っているためである。また、水深が深くなるに従って、栄養塩濃度は増加する傾向がある。 低温安定性 水温をはじめ含まれる成分が年間を通して一定であり、水質が安定しているという特徴がある。 海洋深層水は、表層水との混合が生じにくいため溶存酸素量は少ない。ただし、日本海固有水は太平洋側の海洋深層水とその成り立ち方が異なるため、溶存酸素量が表層水とほとんど同じであることが特徴である。なお、深層水が特定の海域で表層へ上昇する(湧昇)ことがあり、そこでは豊富な無機栄養塩によりプランクトンが豊富に発生するため、非常に生物生産性の高い海域となり好漁場となる。
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