水冷式インタークーラー
過給機で断熱的に圧縮され昇温した空気の温度を、冷媒に放散させるようにした空気冷却機。過給機出口とインテークマニホールド入口間に装着され、熱交換部分を冷媒が流れるようになっている。ケースのなかに多数のチューブが貫通しており、チューブ中を空気が通り、その周囲の空間を冷媒が流れる構造と、その逆にチューブのなかを冷媒が通り、その周囲を空気が流れる方式とがある。冷媒の循環はエンジン冷却と共通で、大気への放熱はラジエーターから行うのが一般的である。
反対語 空冷式インタークーラー参照 インタークーラー付きターボエンジン
水冷式インタークーラー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 09:03 UTC 版)
「インタークーラー」の記事における「水冷式インタークーラー」の解説
過去の市販車ではトヨタ・ソアラ、トヨタ・セリカXXのM-TEU搭載車、トヨタ・セリカ GT-four RC、ホンダ・レジェンド V6 Ti、スバル・レガシィの初代モデルなど一部の車種で、水冷式が採用されたことがある。水冷式は同じ熱効率でも空冷式よりもクーラーコアを小型に設計でき、低速走行時の熱交換率にも優れるため、当初はインタークーラーにおいても水冷式の普及が期待されたが、水経路をエンジン冷却系統と共有した水冷式には「吸気温度の下限がラジエーター水温に依存する」という欠点があった。例えばラジエーター水温がサーモスタットで81度に保たれた場合、インタークーラーを通過する空気は81度以下には冷却されない。これを回避するにはエンジン冷却系統とは別に、インタークーラー用の冷却系統を設ける必要が生ずる事になる。エンジン冷却系統から独立したサブラジエーターを設けた場合、エンジン冷却系統のウォーターポンプが使用できないため、ベルト駆動あるいは電動式のウォーターポンプが別途必要となる。当然ながら停車中や低速走行時の冷却も考慮し、インタークーラー用のサブラジエーターには(エンジン冷却系統とは別の)クーリングファンを設けなければならない。このような結果、トータルのシステムで比較した場合の水冷式は空冷式に比べて複雑で大規模なシステムとなってしまい、当初期待されたダウンサイジングは達成できなかった。 予混合燃焼のガソリンターボ車で吸気温度が極端に高い場合、自己着火によるノッキング(プレイグニッション)のリスクが高まるが、ラジエーターにはファンが取付けられており、吸気温度は冷却水温と相関する一定の範囲に収まる、という利点も存在する。 以上の様に空冷が主流ではあったが、2000年代中盤からのVWのTSIを端緒としたダウンサイジングコンセプトの流行により様相は若干変わってくる。過給を伴うダウンサイジングでは自然吸気に近いレベルのレスポンスが求められるため過給ラグを抑制する吸気経路の最適化は優先事項でもあり、レイアウトの自由度の高い水冷式とするメリットは大きくなった。また冷却に関しても低速域で優れているだけではなく、比熱が大きな冷却水を介する水冷式は空冷に比べて急激な高過給圧による吸気温の急上昇に対しても変動が少ないというメリットがある。これは緻密なノッキング・プレイグ制御を全領域で行う現代のエンジンにおいては大きなメリットとなる。依然、空冷のままダウンサイジングを行っているエンジンもあるがインタークーラーの水冷化は別系統の冷却系が必要となるデメリットは伴うもののダウンサイジングにおける一つのトレンドとなっている。 4代目マツダ・デミオ(後のMAZDA2)のディーゼルエンジン仕様車は、インテークマニホールド内蔵型の水冷インタークーラーを採用している。これは、狭小なコンパクトカーのエンジンルームに格納する必要があることと、吸気管長を短縮して(一般に)緩慢なディーゼルエンジンのレスポンスを改善すること、従前のディーゼルエンジンに比べ圧縮比が極端に低いことによる自己着火性の悪さを改善する為のものである。
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