水冷エンジン用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 14:38 UTC 版)
詳細は「ラジエーター (水冷エンジン)(英語版)」を参照 水冷エンジンにおいては冷却水の過熱を抑えるためにラジエーターが用いられる。エンジンのウォータージャケット(英語版)とラジエーターは管で繋がれ、エンジンの熱を奪って高温となった冷却水は対流による自然循環(サーモサイフォン(英語版))あるいはウォーターポンプ(遠心式のクーラントポンプ(英語版))による強制循環によってラジエーターへ導かれる。ラジエーターを通過して温度の下がった冷却水は別の管を通じてエンジンへ戻される。冷却水の温度には最適な範囲があるため、経路にサーモスタット(ワックス式温度調節弁(英語版))によって切り替えられる温度調節弁(英語版)を設け、水温が低い場合は冷却水をラジエーターへ流さずにバイパス経路でシリンダーブロックへ戻される。 ラジエーターはアルミニウム合金製などのフィン付きの細管を多数並べたコアと呼ばれる構造と細管の入り口と出口をまとめるタンクと呼ばれる構造からなる。タンクには給水用のキャップを持つものが多い。冷却水経路へのエア噛みを防ぐため、ラジエーター上部の取入口から冷却水を導入し、ラジエーター下部の排出口から冷却水を排出する経路を採るのが一般的である。また、多くの場合、ラジエーターの上端にラジエーターキャップを設けてエア抜きを容易にしているが、冷却水経路の設計上、ラジエーターキャップのみではエアの排出が困難な場合には、冷却水経路にエア抜き栓を別途設けることもある。冷却液の温度上昇により蒸気圧が大気圧を超えると沸騰するが、内燃機関の冷却水経路は圧力をかけて100℃を超えても沸騰しにくい構造とされている。しかし、圧力が高くなりすぎると破損に繋がるため、ラジエーターキャップにはプレッシャーバルブが組み込まれ、圧力が設定値以上になるとラジエーターサブタンクに冷却液を逃がすようになっている。冷却水が加熱された状態でラジエーターキャップを開くと冷却水が噴き出すのは圧力がかかっているためで、社外品のラジエーターキャップの中には噴き出し防止のために圧力解放ボタンを備えたものも存在する。 自動車などに搭載される場合はコアの方向によって、「ダウンフロー(縦流れ)方式」と「クロスフロー(横流れ)方式」に分類される。従来はダウンフロー方式が主流であったが、欧米を中心にクロスフロー方式が普及している。横長で、タンクを含めた外形寸法が同じ場合で比較すると、短辺にタンクが配置されるクロスフローの方がコア面積を大きく取れるため放熱性能上は有利であるが、ダウンフロー方式と比較すると水路断面積が小さくなるため通水抵抗は大きくなる。古くはドーナツ状のタンクの輪の内側に、金属の薄板をハチの巣状に張ったものが普及し、後に水管式(チューブラー式)へと進化していった。水管式は、チューブごとにフィンが独立していたが、さらにフィンの表面積を稼ぐため、隣り合ったチューブの両方に接するよう、ジグザグ状のフィンを設けたコルゲート式へと代わり、この時代が長く続いた。最近ではすべてのチューブをストレートフィンで繋ぐ、プレート式が登場している。
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