民間団体における「ジャパニーズ・ウイスキー」の定義と自主基準
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 23:00 UTC 版)
「ジャパニーズ・ウイスキー」の記事における「民間団体における「ジャパニーズ・ウイスキー」の定義と自主基準」の解説
イギリスのスコッチやアメリカのバーボンでは法規制、日本の日本酒やワインでは国税庁告示(清酒の製法品質表示基準や果実酒等の製法品質表示基準)によりラベルの産地表記に関する詳細な規則があるが、日本のウイスキーにはラベルの産地表記に関する法的・行政的な規則がなく、「ジャパニーズ・ウイスキー」の定義は曖昧なものになっていた。これにより、日本国内で蒸留せず、国内で貯蔵・ブレンド・瓶詰めしただけでも「ジャパニーズ・ウイスキー」表記で流通させることが横行しており、国際的にジャパニーズ・ウイスキーの信頼性とブランド価値が毀損される可能性が提起されていた。 こうした状況を受けて、2021年(令和3年)2月12日、日本洋酒酒造組合は「ジャパニーズ・ウイスキー」の定義を明確化するために、自主基準である「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」を制定し、同年4月以降、日本国内でウイスキー製造免許がある82社がこの基準を遵守することとなった。なお同年3月31日以前に販売されたウイスキーについては表記の変更まで3年の猶予期間が与えられている。同基準に基づく定義は以下のとおり。 以下の品質基準を満たすこと。原材料には麦芽、穀類、日本国内で採水された水のみを使用すること。また、麦芽は必ず使用すること。 糖化、発酵、蒸留は日本国内の蒸留所で行うこと。また、蒸留留出時のアルコール分は95%未満であること。 貯蔵に当たっては、内容量700リットル以下の木樽に詰め、日本国内で3年以上貯蔵すること。 色調の微調整のためにカラメルの使用を認める。 表記上は「ジャパニーズ」と「ウイスキー」の文字を統一的且つ一体的に表示し、文字の間を別の用語で分断してはいけない。 「日本ウイスキー」「ジャパンウイスキー」等の同義語や外国語への翻訳時にも上記の品質基準を満たしていなければならない。 日本を想起させる人名・都市名や山岳名等の地名・日本国の国旗及び元号等も、上記の品質基準を満たしていないものに使用してはいけない(品質基準を満たしていないことを明示している場合を除く)。 日本経済新聞によれば、この基準に当てはめた場合の主要洋酒メーカーで該当する商品群は以下のとおりになるという。 サントリーホールディングス(8ブランド):「響」「山崎」「白州」「知多」「ローヤル」「スペシャルリザーブ」「オールド」「季 (TOKI)」(「季」は海外市場専売商品) アサヒグループホールディングス(ニッカウヰスキー)(4ブランド):「竹鶴」「余市」「宮城峡」「カフェグレーン」 キリンホールディングス(1ブランド):「富士」 なお日本洋酒酒造組合が定義を定める前から、本件を問題と考えていた日本国内の一部の蒸留所は、一部でも輸入原酒が使用されているウイスキーのラベル表記を「秩父ブレンデッド」から「ワールドブレンデッド」に、「ブレンデッドジャパニーズウイスキー」を「ブレンデッドウイスキー」表記に改めるなどしていた。また、東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)が一足早く2019年(令和元年)9月に、出展品にのみ適用される定義ではあるが「ジャパニーズウイスキー」の定義を発表していた。TWSCの定義では、日本国内で麹を除いた大麦麦芽か天然由来の酵素で穀物を糖化して発酵、アルコール分95%未満で蒸留、木製の樽か容器で2年以上熟成したものを、作業国を問わずアルコール分40%以上でブレンドして瓶詰したもの(カラメル色素E150aによる着色は可)を「ジャパニーズウイスキー」と定義し、同条件で熟成が2年未満のものは「ジャパニーズニューメイクウイスキー」と定義した。そして上記の「ジャパニーズウイスキー」と外国産ウイスキーを日本国内でブレンドしてアルコール分40%以上で瓶詰めしたものを「ジャパンメイドウイスキー」として「ジャパニーズウイスキー」と区別して定義した。
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