欧州懐疑主義の同盟へ(2013-2017)
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2013年12月15日、後任を決める書記長選挙では失脚したボッシが立候補を表明したが、執行部の支持を集めた反ボッシ派のマッテオ・サルヴィーニが予備選挙で優勢を維持し、同盟員票の82%を得票して第3代同盟書記長となった。トリノで開かれた執行会議で承認を受けて、正式に発足したサルヴィーニ体制では欧州懐疑主義の主張が全面に掲げられ、サルヴィーニの演説では「ユーロは人類への犯罪」という過激な発言も飛び出している。イデオロギーに幾分違いはあるものの、同じ欧州懐疑論者であるフランス国民戦線のマリーヌ・ル・ペンやオランダ自由党のヘルト・ウィルダースとの連帯を模索し、ファシスト的と一般に受け取られる勢力と反EUで政治連合も組んでいる。 元々共産主義者であり、左派的な地方分権運動を思想の中心に置いてきたボッシはサルヴィーニへ激しい批判を行った。サルヴィーニも共産主義系の党内グループに属していた最左派の同盟幹部であり、力強い反グローバリズムも左派の政治運動と矛盾していないが、ファシズムとの連帯すらも辞さない点において反ファシズムを公言するボッシとは異なっている。ヴェローナ市長フラヴィオ・トーシ(英語版)ら同盟内の中道派からもユーロ批判については疑問の声が上がった。 2014年欧州議会議員選挙でサルヴェーニはこれまでの「パダーニア」から、「バスタ・ユーロ」(Basta Euro、ユーロはもう結構)という新たな選挙ロゴとスローガンに変更した。政治主張も地方分権や環境主義ではなく、欧州統合反対・ユーロ離脱などの内容が中心となった。新体制に向けた意欲的な試みであったが、同盟員は混乱するばかりで即時の党勢回復には繋がらなかった。選挙結果は前回の9議席から5議席に減少して得票率もほぼ半減する敗北となったが、一方で大敗を喫した前年の総選挙と比較した場合は総得票数が2.1%程上昇しており、ロンバルディア州と並ぶ同盟の地盤であるヴェネト州では15.2%を得票している。支持回復の傾向が見られた事もあり、選挙後もサルヴェーニによる「新しい同盟」の路線を継続する事が執行会議で承認され、フラット・タックス運動や中部・南部・島嶼部での同盟支持を広げる計画も実施された。以前から中南部の地域運動「自治の為の運動」との協力に留まらず、南部での協力政党「サルヴィーニと共に(英語版)」を設立した。年末に実施されたエミリア=ロマーニャ州議会選挙で北部同盟は19.4%の票を獲得、新しい同盟が新しい同盟の支持層に受け入れられつつあるが、同時に同盟内での守旧派との軋轢も生じている。 2015年、欧州議会選の結果から州議会選挙での躍進が期待されていたヴェネト州同盟支部を巡って対立が表面化した。ヴェローナ市長フラヴィオ・トーシ(英語版)と、サルヴェーニ派のヴェネト州知事ルカ・ザイア(英語版)が激しい内紛を繰り広げた末、トーシは新党『行動!(英語版)』を設立して同盟から離脱した。しかし内部対立にも関わらずザイア率いる同盟支部は期待通りの支持を集め、ヴェネト州で40.9%の得票を獲得した(ザイアの支持団体が23.1%、同盟が17.8%)。また同時に実施されたウンブリア州・トスカーナ州・マルケ州の州議会選挙でもそれぞれ得票率が10%近くも急上昇しており、反EUを旗印に中部イタリアの地方議会選挙で異例の躍進を遂げている。こうした動きから五つ星運動、北部同盟、イタリアの同胞といった反EU政党がモンティ改革以来の緊縮財政に不満を持つ労働者層の支持を集め、イギリス・フランスに次いでイタリアでもEU離脱が現実味を持つ可能性が指摘されている。 2016年、統一地方選挙[要リンク修正]での捗々しくない結果は、州議会選挙に続く躍進を想定していたサルヴィーニ派を落胆させた。同年の統一地方選挙ではローマ・ミラノ・トリノ・ナポリなど主要都市での市長選挙が行われたが、同盟はノヴァーラ市長選挙で自派候補が勝利した以外では存在感を示せず、各選挙区全体では4%程度の得票しか集める事ができなかった。2017年、反EU路線が早くも失速しているとしてボッシ派やマローニ派から路線変更を求める動きが起きたものの、同年の書記長選挙では82.7%の同盟員票を得てサルヴィーニが再選された。2期目を迎えるサルヴィーニは反対意見に対し、むしろ同盟の一層の改革が支持回復には必要であると主張して「北部」という郷土主義的な名称を「党名から外す事すらも検討している」と言及した。
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