欧州の取組
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 15:42 UTC 版)
「テクノロジーアセスメント」の記事における「欧州の取組」の解説
米国OTAの設立やOECD会議など国際レベルでの議論の影響により、1970年代に欧州の一部でTAの制度化についての議論が始まった。しかし、米国と比べて議会法制度が貧弱であり、議会に対し科学的諮問ができる者が少ないことや、OTAの目的や手法が不透明であったことに対する批判などにより、欧州でのTA活動は低調だった。しかし、1980年代に入ると、科学技術による社会や環境への影響が強まり、特に経済停滞・低雇用を脱する方策としての技術への期待から、欧州版TAの議論が開始され、欧州の各国レベルで議会TA機関の設立が相次ぐこととなった。1990年にはEPTA(European Parliamentary Technology Assessment)というネットワークが設立され、イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、デンマーク、EUの6機関が初期メンバーとなった。EPTAの現在の加盟機関は14、準加盟機関は5にまで拡大している。最近、米国の会計検査院(GAO)が準加盟したことにより、欧州の枠を超えた国際的ネットワークとして発展しつつある。 欧州議会TA機関は、大きく2つのモデルに分けられる。 道具的モデル:OTA的。関係者の参画プロセスもある。妥当性重視。英国・フランス・フィンランド・EUなど。 討議的モデル:市民参加による討議、民主性を尊重。自律性重視。デンマーク・オランダなど。 討議的モデルは一部において議会制度を離れ、参加型TAなど新しい形のTAとして広まっている。 新しい動きとして、PACITA (Parliaments and Civil Society in Technology Assessment)と呼ばれる、欧州委員会からの資金による4年間のプロジェクトが2011年から開始される。ここではEPTAのメンバーも主要な役割を担うが、議会TA機関によるTAだけでなく、市民やステークホルダー、議会、行政など、より多様な主体を取り込んで、市民や社会におけるTAの実践を図る目的を持つ。活動は、(1) 既存のTAの実践の整理を踏まえた文書化とネット上にポータルの設置、(2) TAの利用者を対象とするサマースクールやTA実践者のミーティング、TA教材の作成など、TAの訓練、(3) 議会TAが制度化されていない欧州の国におけるTAの制度化について議論、(4) 公衆衛生ゲノミクス、高齢化社会、持続可能な消費のテーマについて専門家中心、ステークホルダー関与、市民参加の3つの主要なTA手法を実践比較、となる予定である。 現在、EPTAに加盟している会員は14機関である。 科学技術オプションアセスメント(STOA)- 欧州議会 デンマーク技術委員会(DBT)- デンマーク 未来委員会 - フィンランド議会 科学技術機関(IST)- ベルギー・フランドル議会 議会科学技術オプション評価局(OPECST)- フランス国民議会 ドイツ議会技術評価局(TAB)- ドイツ テクノロジーアセスメント委員会 - ギリシャ 科学技術評価委員会(VAST) - イタリア議会 ラテナウ研究所 - オランダ ノルウェー技術委員会(NBT)- ノルウェー テクノロジーアセスメントセンター(TA-SWISS)- スイス 議会科学技術室(POST)- イギリス議会 カタルーニャ議会科学技術助言委員会(CAPCIT)- カタルーニャ自治州 議会評価研究ユニット - スウェーデン議会 また、準会員は5機関である。 欧州評議会議員会議科学と倫理小委員会(CoE) テクノロジーアセスメント研究所(ITA) - オーストリア 連邦科学政策局(BELSPO)- ベルギー 研究局(BAS)- ポーランド議会 会計検査院(GAO)科学技術工学センター(CSTE)- 米国連邦議会
※この「欧州の取組」の解説は、「テクノロジーアセスメント」の解説の一部です。
「欧州の取組」を含む「テクノロジーアセスメント」の記事については、「テクノロジーアセスメント」の概要を参照ください。
- 欧州の取組のページへのリンク