欧州の動向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 16:36 UTC 版)
欧州連合(EU)の欧州委員会は、第5世代移動通信システム(5G)を巡るファーウェイ製品の採用判断は、EU加盟各国に委ねる方針を2019年3月に発表しており、2020年1月には5Gのネットワークからファーウェイを排除しないとする勧告を行ったが、ヨーロッパ諸国においても規制の動きが見られている。 ドイツでは、連邦電子情報保安局が独自の調査でファーウェイに対するアメリカの主張に懐疑的な結果を得たと2018年12月に述べ、2019年10月にドイツ政府はファーウェイを5G通信網から排除しない新規則を発表したが、翌2020年10月にファーウェイ制限の検討に入ったと現地報道されている。 フランスでは、ファーウェイとの通信インフラの構築を歓迎すると2018年12月に表明し、エマニュエル・マクロン大統領はファーウェイを排除しないことを2019年5月に述べ、フランス政府は5Gからも排除しないことを明言したが、翌2020年7月に一転してファーウェイ製品を規制する方針を表明した。 モナコは、ヨーロッパで初めてファーウェイの5G通信網を全土で2019年7月に開設した。 イギリスでは、政府通信本部の国家サイバーセキュリティーセンターが、5G設備の調達先の多様性を確保すれば、安全保障上のリスクは抑えられると2019年2月に判断し、2020年1月にファーウェイの5G製品を条件付きで認めることを発表した。また、2019年5月にはこの方針を漏洩したとして国防大臣の解任が起きており、最大手のBTグループはファーウェイ製品を一部採用した5Gサービスを開始した。しかし2020年7月、イギリス政府は部分容認という従来の方針を翻し、ファーウェイの機器を2027年までに排除すると決めたと報じられた。当初の報道では同年5月のアメリカ政府の追加制裁によってファーウェイの半導体調達が困難になり、製品の安全性や信頼性を損ねる恐れがあることや香港国家安全維持法をめぐる英中関係の緊張が影響していると報じられたが、2022年1月、キャメロン内閣で産業大臣を務めていたヴィンス・ケーブルがファーウェイ排除について「アメリカ人がそうすべきと言ったからだ」と述べ、ファーウェイ排除がイギリスの意思ではなくアメリカからの圧力であったことを示唆した。また、同時に「イギリスが5Gを使い続けていれば私達は最先端の技術を用いる国の1つになっていたが、今はそうではない」と発言したほか、イギリスからファーウェイにスパイを送り込んでいたことを示唆した。 カナダでは、2012年10月に当時の政府の通信ネットワークからファーウェイを安全上の理由から除外したが、サイバーセキュリティセンターの責任者が「5Gに関してはファーウェイを排除する理由はない」と発言している。一方で、大手電気通信事業者ベル・カナダはサプライヤーにエリクソンを採用し、ファーウェイ製品を除外している。 エドワード・スノーデンの事件をめぐって、UKUSA協定締結国と対立しているロシアは、2019年6月に初の5G通信網の開発でファーウェイと合意し、ウラジミール・プーチン大統領は、ファーウェイ問題でのアメリカの動きを「デジタル世代で初のテクノロジー戦争」と批判した。
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