樹氷
じゅ‐ひょう【樹氷】
樹氷
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 19:09 UTC 版)
樹氷(じゅひょう、英: soft rime)は、過冷却水滴からなる濃霧が地物に衝突して凍結付着した氷層のうち、白色で脆いものをいう。気温-5℃以下の環境で風の弱いときに顕著に発達し、気泡を多く含むために不透明で、白色を呈する。小さな粒状の氷が無数に凝集する構造で、手で触ると簡単に崩れるほど脆く、樹氷が付着している物体を揺らすと簡単に落ちる。風上側へ向かって羽毛状に成長し、風が強いほど風上に成長するが、この様を俗に「海老の尻尾」とも呼ぶ。弱風時には地物の全ての方向に付着する。 日本では蔵王で1914年2月15日に発見された樹氷林が観光資源にもなっており、樹木が完全に樹氷や雪によって覆われたものは「アイスモンスター」あるいは地元では「雪の坊」とも呼ばれる。アイスモンスターの南限および西限は長野県の菅平高原とされてきたが、2018年1月に白山で発見されて国内最南端、最西端を更新した。他に八甲田山や八幡平、伊吹山、氷ノ山、富士山のものが知られていて、九州の中央部、宮崎県五ヶ瀬町と熊本県山都町周辺にまたがる九州山地の高山地帯や、長崎県の普賢岳でも樹氷を見ることができる。黄砂が到達し始める春先には、冬季に白色だった樹氷林がやや黄色味を帯びる。ドイツのシュヴァルツヴァルトでも見られる。 樹氷は本来「海老の尻尾」を指す気象用語であるが、1920年代前半に蔵王でスキー合宿を行っていた第二高等学校 (旧制)と東北帝国大学の学生らが「雪の坊」を巨大な「樹氷」と勘違いして呼んだことが発祥であることが樹氷発見から100年の節目に当たる2014年に山形大学が実施した調査で判明した。また円谷英二が撮影した映画「新しき土」の蔵王ロケのシーンでも「樹氷」の呼び名が使われたため、全国的に広まったという。 近年の調査により、現代で「樹氷」と呼ばれる気象現象は、1873年の国際会議で決定された気象用語では「silver thaw(凝霜)」であり、ほぼ透明な付着氷が「glazed frost(樹氷)」であった。しかし1877年に内務省地理局が英語から気象用語を翻訳する際、2つの英文が入れ替わったため、「silver thaw」は「樹氷」に「glazed frost」は「凝霜」と訳された。凝霜は後に雨氷に変更された。1892年には中央気象台の職員が誤りに気づき、訳語の交換を提案したが受け入れられず現在に至ったとされる。 樹氷(スノーモンスター)八ヶ岳・硫黄岳にて 秋田県 森吉山・樹氷平 山形県 蔵王・地蔵山付近 三重県・奈良県 高見山 樹氷。ドイツ・シュヴァルツヴァルト
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