構造と施工
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 19:10 UTC 版)
「真鶴トンネル (真鶴道路)」の記事における「構造と施工」の解説
小田原・真鶴側と熱海・湯河原側双方の坑口を河口近くの河川下部をくぐる形状としたことから、両坑口付近の計画高は海面下となった。ポンプによる強制排水の必要性や、地下水の影響を極力避けるため中央部付近を高くし、W字型の勾配を持つ線形とした。現地の地質は箱根火山を起源とする安山岩を主体とし、表面に関東ローム層、坑口付近はスコリア層となっている。一軸圧縮強度100N/mm2以上の安山岩では発破掘削が不可欠であったが、土かぶりが比較的浅く人家が点在しているため、明かり区間で試験発破を行ったのち、分割発破による制御発破が計画実施された。導坑の掘削においては、恵那山トンネルの導坑掘削用に開発された発破併用馬蹄型掘進機が導入されたが、同機は凝灰岩などの軟質地山を施工対象としていることから、適した地盤が想定より少なかった真鶴トンネルでの施工実績は200m程度にとどまった。 トンネル延長のうち2/3にあたる1,020mが平均海面以下となり、サグ部分では海面下4mの位置が掘削された。先行工事では導坑から、海水の混ざった毎分20m3の湧水があり、これを半分程度に抑えることを目標として、懸濁型セメントや水ガラス系の薬液を注入して止水が行われた。東西2か所に湧水をためる水槽が設けられ、排水ポンプでトンネル外に排出される。東側(真鶴側)は水槽容量136m3。45kwの自吸式ポンプ3台を備え、常時排水量毎分5m3、最大排水量毎分13.5m3。一般下水路に放流する。西側(湯河原側)は水槽容量143m3。30kwの自吸式ポンプ3台で、常時排水量毎分5.9m3、最大排水量毎分14.7m3の能力を持ち、河川に放流する。排水には海水が混ざるためポンプや配管にはステンレス鋼が使われ、火災発生時等の消火用水も処理可能な排水能力を持つ。トンネル内の換気方式は縦流式選択集中排気が採用され、高さ35mの換気塔を持つ東換気所と、高さ71mの換気塔と集塵装置を備えた西換気所が設けられている。トンネル内は再放送設備によりAMラジオが受信可能である。湯河原側坑口上部は公園として利用され、近接して福浦インターチェンジがある。真鶴側坑口には岩インターチェンジがあるが、いずれも小田原市方面からの出口と小田原方面への入り口を持つハーフインターチェンジであるため、岩ICから真鶴トンネルを利用することはできない。トンネル内は津波浸水想定区域であり、前後の湯河原大橋・岩大橋および西換気所が一時避難場所に指定されている。 岩IC付近。出入路の間の本線がトンネルへ潜る。 真鶴側の東換気所。 湯河原側の西換気所の近くには、福浦漁港の地魚を出す飲食店がある。 音無川河口付近。この川を避けるため、海抜下にトンネルが掘られた。 湯河原側坑口上部の福浦公園。
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