構造と普遍的な神話学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 04:41 UTC 版)
「ギリシア神話」の記事における「構造と普遍的な神話学」の解説
ソシュールの構造の概念を継承して神話研究に適用したのは人類学者のクロード・レヴィ=ストロースであり、彼は『構造神話学』において、オイディプースの悲劇を、神話素(英語版)のあいだの差異の構造と矛盾の体系として分析し、「神話的思考」の存在を提唱した。オイディプース神話の目的の一つは、現実の矛盾を説明し解明するための構造的な論理モデルの提供にあるとした。この神話の背後には様々な矛盾対立項があり、例えば、人は男女の結婚によって生じるという認識の一方で、人は土から生まれたという古代ギリシアの伝承の真理について、この矛盾を解決するための構造把握がオイディプース神話であるとした。 フロイトの無意識の発見から淵源したとも言える深層心理学の理論は、歴史的に現れる現象とは別に、時間を超えて普遍的に存在する構造の存在を教える。ユングは、このような普遍的・無時間的な構造の作用として元型の概念を提唱した。ケレーニイとの共著『神話学入門』においては、童子神の深層心理学的な分析が行われるが、コレーや永遠の少年としてのエロースは太母(地母神)としてのデーメーテールなどとの関係で出現する元型であり、「再生の神話」と呼ばれるものが、無意識の構造より起源する自我の成立基盤であり、自我の完全性への志向を補完する普遍的な動的機構であるとした。
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