桜町再開発に伴う立ち退きから閉店へ
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「県民百貨店」の記事における「桜町再開発に伴う立ち退きから閉店へ」の解説
2008年(平成20年)6月16日、九州産業交通ホールディングスと九州産交ランドマークの両社の出資により熊本桜町再開発準備株式会社が設立され、当店を含む熊本桜町地区の再開発事業が動き始めることになった。 また、桜町地区の隣にある花畑地区でも熊本市が所有する旧熊本市産業文化会館とそれに隣接する民間ビルなどを一体的に再開発することになり、熊本市と地権者でつくる花畑地区再開発協議会に国と熊本市が折半で負担して2007年(平成19年)度から5年間で計約1億900万円の補助金を投じて花畑地区再開発計画が進められていた。 この花畑地区再開発計画に伴い、2009年(平成21年)3月末に熊本市産業文化会館を閉館。都市再開発法に基づく法定再開発に向けた準備が進められていたが入居企業が集まらず難航。さらに、NHK熊本放送会館が2012年(平成24年)6月に花畑公園北側へ単独移転を決め、再開発計画への参画を撤回したことから暗礁に乗り上げることになった。 こうした花畑地区再開発計画の難航を受けて、2012年(平成24年)11月27日に熊本市が同地区単独での再開発事業を断念すると共に、民間による計画が景気低迷の影響で進展していなかった桜町地区再開発事業と一体化する形に計画変更することを発表した。 この再開発事業の一本化に伴い、桜町地区に熊本市が整備する国際会議などのコンベンションが行える多目的ホール(いわゆるMICE施設)を含めた複合ビルを建設すると共に、花畑地区ではビルを解体して広場などを整備することになった。 当店はこの再開発計画の対象地区に含まれていたにもかかわらず、計画が一方的に進められていたため、事業計画が立てられず業績が悪化したことなどを理由に、賃料を年間約1億円減額するよう求める訴訟を、店舗の賃貸借契約を締結する九州産交ランドマークに対して2013年(平成25年)10月29日付で熊本地方裁判所に提起することになった。 それと並行して、当店は再開発後の複合ビル内に再出店することを求めて九州産交グループとの協議を進め、現在の店舗面積約25,000m2と同規模の確保を求めた。 しかし、九州産交グループからは、再開発中の仮店舗として熊本市産業文化会館跡地での仮店舗では店舗面積約5,500m2、再開発ビル内の新店舗では店舗面積約15,000m2という大幅な規模縮小をする案が提示された。 だが、この規模では従業員を半減する必要性が生じる上、入居にあたっては内装などに26億円が必要と試算された。 そこで、2014年(平成26年)5月29日に臨時株主総会を開催。資本金を4億円増資して現状の2倍とすると共に銀行などから約22億円を借り入れて再開発ビルに新店舗を開設する案と、移転を前提に店舗の明け渡し時期や補償額などを九州産交側と交渉する案を提示したところ、移転案が可決された。 この臨時株主総会での決定を受け、熊本市中心部に新たな移転先を探して営業することを目指した。 しかし、店舗面積約10,000m2以上で2015年(平成27年)4、5月の営業開始出来ることを条件に十数カ所の候補先を探し、最終的に1カ所に絞り込んだものの、立地条件が悪いことなどが影響となり、初期投資に見合う収益を確保できないとして2014年(平成26年)8月11日の取締役会で移転の断念を決定した。 そして、2014年(平成26年)8月12日、営業継続を断念し2015年(平成27年)2月28日に閉店すると発表した。 2014年(平成26年)8月12日時点で、当店には正社員は約130人を含めた直接雇用が約300人に加えて取引先社員約600人が勤務しており、再開発計画に参画している熊本市からの支援なども受けながら再雇用先の確保を目指すことになった。 これを受けて、熊本市が庁内連絡会議を設置すると共に熊本商工会議所などにも呼びかけ、熊本県も商工観光労働部の担当課長ら5人による庁内情報連絡会議を開いて相談窓口の設置を決めるなど従業員の雇用確保に向けた取り組みを始めた。 なお、2014年(平成26年)1月期は、売上高約118.79億円で純損失が約1.28億円と3期連続の赤字となったものの、資本金4億円に加えて約2.6億円の内部留保を確保していることから、正社員の退職金などの支払いを行っても負債を抱えて倒産せずに清算が可能としている。 当店友の会会員は、2014年(平成26年)8月12日時点で約2万人となっており、閉店まで金券の使用が可能なほか、同年9月以降に郵送での解約を行うとしている。 最終日となった2015年(平成27年)2月28日には約5万人が来店し、午後6時に閉店してその歴史に終止符を打った。 閉店して来店客が店外に出た後、閉店のセレモニーとして、歴代のロゴマークを紹介するパネルを従業員が掲げる中で、松本烝治社長が玄関前で来店客らに挨拶をして別れを告げた。
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