東大寺法華堂の不空羂索観音立像とは? わかりやすく解説

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東大寺法華堂の不空羂索観音立像

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 21:53 UTC 版)

東大寺不空羂索観音立像」の記事における「東大寺法華堂の不空羂索観音立像」の解説

法華堂内陣中央八角二重の基壇設けられ、そこに不空羂索観音立像安置される。「鹿皮観音」(ろくひかんのん)とも呼ばれる像高362センチメートル脱活乾漆造頭髪群青彩、全面漆箔仕上げ金色帯び、三眼八臂、頭上には銀製宝冠(高さ88センチメートル)を戴いている。眉間には白毫として水晶がはめ込まれ、額にある3番目の眼は縦に開く。目鼻立ち均整がとれていて、威厳ある表情造り上げている。立像表情について、しばしば「沈鬱」、(密教特有の)「かげり」があるとの形容見られるが、田中義恭は「むしろ堂内の薄暗い雰囲気金箔剥落のぐあいによって、かもしだされたものではないであろうか」と記述している。 8本の腕のうち、2手は与願印を結び、胸前合掌する左右の手の間に水晶宝珠如意宝珠)を潜ませている。その他の4手は、羂索蓮華錫杖などの持物をとる。江里康慧は、本像を脱活乾漆造としては、現存する最古脱活乾漆像と見なすが、金森遵は、本尊より像高が勝る点、及び肉付け平板な点から、法華堂梵天帝釈天両像の方が古いとする内部は1本の心木が像の頭頂部まで達し体勢支えているものと推定される。左肩からは鹿皮表現した乾漆製の衣が臂にかかり、右肩口からは乾漆製の天衣(てんね)が垂下している。鹿皮天衣は、異な材質表現しようとする工夫がみられ、像に着せるように装着される胸飾り瓔珞乾漆製である。 光背蓮弁形で多数光条備え放射状の光を表現する。この光背は本来あるべき位置より下方取り付けられているが、他に類例のない意匠である。『正倉院文書』の記載によれば747年天平19年)に光背台座制作に関する記録があり、その時期に光背台座製作されたと推定される保存状態良好で、光背・像とも破損した部分少ない。ただし上述のように、光背下げて取り付けられているほか、右腕から垂下する天衣持ち物一部などが後補である。 制作年代について、『正倉院文書』などから、749年天平勝宝元年)を下らないとされるが、2011年平成23年)、奈良文化財研究所光谷拓実年輪年代調査法華堂部材調べたところ、須弥壇729年ないし730年神亀6年天平元年-2年)、屋根支え部材730年ないし731年天平2-3年)との結果得られた。1134年長承3年)にまとめられた『東大寺要録』(以下、『要録』とする。)には 羂索院 (略)天平年歳癸酉建立也。良弁僧正安置不空羂索観音菩薩像(略)。是僧正本尊也。 と、733年天平5年)に法華堂立てられ本尊安置されたとあるが、『要録』は後世編纂ということもあり、その記述疑問視する声もあった。しかし、年輪年代測定結果により『要録』の記述現実味を帯びることとなった作者について田中英道は、様式などから、国中連公麻呂とする。それに対して根立研介は、正倉院文書などから、公麻呂制作者でなく、官吏であるとする。浅井和春は、「様式」を最優先して作者定め田中の手法を「独断」と呼べるとする。辻惟雄は、田中論への反論対し、「強引な論旨反発も強いが、古代彫刻における作者個性問題一石投じかけるものだろう」と纏める。 像の制作発端として、東大寺毘盧遮那仏建立対す障害抑え込むために、強い呪力を持つ不空羂索観音造立したという説や、藤原広嗣の乱740年天平12年)の平定祈願の為という浅井和春の説がある。

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