本物を追求するアクション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 14:14 UTC 版)
「RE:BORN (映画)」の記事における「本物を追求するアクション」の解説
主演の坂口は『狂武蔵』のアクションにおいて、様々な剣術家の元を訪ね意見を聞いたが納得できず「その問いに1人だけ答えを出せる」と紹介され稲川と出会う。坂口は本作の役作りや自身の求めるアクションのために稲川の下で訓練を本格的に開始するも、その内容は「筋トレや格闘技などの練習の禁止」、「飲酒と喫煙」そして「肩甲骨を回す」というもので、途方に暮れたという。しかしそれを半年ほど続け、その悪条件の中で唯一動かせる肩甲骨に身体が頼るのを感じ、坂口はゼロレンジコンバット特有の動きである“ウェイブ”の開眼に至った。 本作において稲川は俳優としても出演しているが、当初、彼を役としてクレジットするつもりはなく、下村はあくまでアクションのスーパーバイザーとして起用していた。しかし、アビスウォーカー(以下、アビス)役に想定していた岩永ジョーイが舞台との兼ね合いで出演できなくなり、代役を選ぶ過程で、稲川に頼んではどうかと坂口から提案が上がり、これに稲川が了承し配役が決定した。稲川を選んだ最大の理由として、坂口は「自分が本気でアクションできる相手がいなかった」ことを挙げ、結果的にアビス役は稲川しか出来なかったともインタビューにて話している。これは自身が身に付けた実践的戦闘術が、他の俳優では対応できなかったというだけでなく、稲川と対峙する撮影下において、さらにワンランク上に動きを洗練させる必要性を感じたことに起因しており、その後の追加撮影の背景には、稲川の動きに対処するための坂口がレベルアップする期間も含まれている。これらを振り返り、下村は、この時初めて彼らが敏郎とアビスの関係になったと評している。 坂口は自分のアクションについて「本作を視聴した現役軍人などから絶賛されてはいるが、リアル過ぎるために役者だと思われていない」と、インタビューにて明かしている。劇中で使用するゼロレンジコンバットについても、キアヌ・リーブス主演の映画『ジョン・ウィック』を例に出し「あっちは最新の技術が表に出せないため、3年前の古いものが映画に使われている」「こっちは本当に最新の技術」として鮮度の差異を挙げている。 稲川は、自身が出演するシーンでは苦労したと語り、下村が何度も要求する撮り直しには「殺し合いを二回もできるか!」と怒鳴り、特に撮影開始当初は撮影スタッフとの間に距離があった。これについて下村は稲川の動きが速すぎて「撮影できない」ことと「何をしているか分からない」ことを理由に挙げている。下村は、坂口と稲村の2人にしか分からないのでは映画にならないと考え、坂口復帰作として失敗できない思いと、映画の中でなら稲川の使う「世に出てはいけない技術」が表現可能で形として残せるのではないかという思いで、追加撮影に挑んだ。その半年をかけた撮影期間の中で、稲川も徐々に映画撮影に関し現場への理解を深めていき、下村の目指すアクションとのすり合わせが可能となった。 また、アクションの演出がそのままストーリーや人物背景に生きる場面もあると下村は話し、その下敷き部分も稲川への取材が元となっている。劇中で敏郎が相手の目を見ないのは、帰還兵の空ろな目線として、戦闘中では相手を人として認識せず周囲を広く観察する“イーグル・アイ”として表現しているという。それによりサチを見据える敏郎に、人間的な変化を描けたとも語っている。 ファントムを演じた大塚は、本作をアクション映画として『燃えよドラゴン』のような原体験として支持される映画になりえると話し、下村は、誰もがブルース・リーを真似したように「ウェイブはその部分を狙っている」「鑑賞後に肩甲骨を回してもらいたい」と明かしている。
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