最後の出演作と早すぎる引退(1941年 - 1948年)
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「グレタ・ガルボ」の記事における「最後の出演作と早すぎる引退(1941年 - 1948年)」の解説
コメディ映画『ニノチカ』がヒットしたことで、MGMは同じくロマンティック・コメディのジョージ・キューカー監督作品『奥様は顔が二つ』(1941年)にガルボを起用した。ガルボはこの作品でルンバ、水泳、スキー姿を披露している。『奥様は顔が二つ』は批評家からは不評だったが、大衆からの受けはよく興行成績も悪くなかった。ただしガルボ自身は「我が墓標」と称したといわれている。そしてこの『奥様は顔が二つ』が結果的にガルボが出演した最後の作品となった。この映画が公開されたときのガルボは36歳で、16年間の女優活動で30本あまりの映画作品を残しての引退だった。 『奥様は顔が二つ』に対する評論家たちからの不評がガルボに屈辱感を与えてはいたが、ガルボはまだ映画界から引退する考えを持っていなかった。しかしながら、ガルボの出演作の興行成績がヨーロッパでの配給に左右されるようになり、さらに第二次世界大戦の勃発によって、MGMがヨーロッパへ映画作品を配給することが困難になっていった。1942年にガルボは『レニングラードから来た女』の出演契約書にサインしたが、間もなく映画製作の計画自体が取止めとなっている。ガルボは戦争が終われば女優を続けられると考えていたが、自身が本当に映画界に戻りたいのかどうかという疑問も抱いていた。ガルボの親しい友人で映画での共演経験もある女優、脚本家のザルカ・フィアテル (en:Salka Viertel) は1945年に「ガルボは映画を撮影したくてうずうずしています。でもその一方で恐れも抱いているのです」と語っている。また、ガルボは自身の年齢についても気にかけており「時は確実に私たちの顔や身体に跡を残していきます。変わらずにいることはできません。何とか折り合いをつけていくしかないのです」と語っている。『奥様は顔が二つ』の監督で、映画が失敗したことの原因とされることもよくあったジョージ・キューカーは「『奥様は顔が二つ』の失敗のせいでガルボの女優生命は終わったとしたり顔で話す人がいる。だけどこれはあまりにも短絡した考えだ。確かに彼女はこの映画でしくじったのかも知れない。でも(ガルボが引退したのは)彼女自身が映画に見切りをつけて、二度と続けようとしなかったからだと私は思う」と語っている。 1948年にもガルボは、1933年に主演した『クリスチナ女王』のプロデューサーであるウォルター・ウェンジャーが企画した、フランスの文豪バルザック原作の映画『ランジェ公爵夫人』の出演契約書にサインしている。この作品の監督にはマックス・オフュルスが予定されていた。ガルボは数回のスクリーンテストを受け、脚本に目を通して映画のロケ地であるローマへ1949年の夏に到着している。しかしながら製作資金の調達が頓挫し、映画製作が放棄されてしまった。このときの『ランジェ公爵夫人』のスクリーンテストが、ガルボにとってカメラの前に立った最後の経験となった。このスクリーンテストの映像は失われたと考えられていたが、1990年に映画史家レナード・マーティン (en:Leonard Maltin) とジェニーン・ベイシンガー (en:Jeanine Basinger) が41年ぶりに発見した。この映像の一部が2005年に公開されたターナー・クラシック・ムービーズのドキュメント作品『ガルボ』で使用されている。 ガルボは1949年に『サンセット大通り』で、サイレント映画時代の架空のスター女優ノーマ・デズモンド役の出演依頼を受けた。しかしながら、プロデューサーのチャールズ・ブラケット (en:Charles Brackett) との打ち合わせの後でガルボは、この話には何の興味もないとして出演を拒否した。 これらのほかにも、1940年代にガルボのもとには多くの映画出演依頼の話があったが、ガルボはほとんど全ての依頼を断っている。ごく僅かな例外もあったが、きわめて些細な理由からガルボの映画出演が立ち消えとなった。ガルボは自身が映画界から引退した理由を、友人たちには生涯話すことはなかったが、死去する4年前にスウェーデン人の伝記作家スヴェン・ブロマンに理由を語っている。「私はハリウッドに疲れ果てていたのです。仕事が好きになれませんでした。撮影現場に行くことを苦痛に感じる日々が多すぎました。……本当の私は全く別の人生を送りたかったのです」
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