昆虫の内生細菌
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昆虫の内生細菌
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昆虫の内生生物は一次と二次の2つに大別される。一次内生菌(Primary endosymbionts: P-endosymbionts)は数百万年以上(数千万から数億年間の場合もある)にわたって昆虫との偏性共生を続けてきた。二次内生菌(Secondary endosymbionts: S-endosymbionts)の共生関係はこれよりも新しい。二次内生菌は血リンパの中に生息し、個体間に水平伝播する。二次内生菌は昆虫に特異的ではなく、他の生物にも感染し得る(下記参照)。また偏性ではない。 昆虫の一次内生菌についての研究はエンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon pisum)とその内生菌Buchnera sp. APS、ツェツェバエ(Glossina morsitans morsitans)とその内生菌Wigglesworthia glossinidia brevipalpis、シロアリとその内生原生生物で研究が進んでいる。これら内生生物は、昆虫内部から取り出すと室内条件で培養できない。宿主昆虫は内生細菌なしでは、特殊な飼料で生き続けられるが不健康となり、長くとも数世代しか続かない。 いくつかの昆虫群において内生菌は、菌細胞(英: bacteriocyteまたはmycetocyte)と呼ばれる特殊な宿主細胞に生息し、母系伝播される、すなわち、母親の内生菌は子孫に垂直伝播される。ブクネラ属(Buchnera)などの内生菌は卵の内部へと伝播される。ウィグルスウォーチア属(Wigglesworthia)などは体液を介して発生途上の胚に伝播される。シロアリの内生生物については水平伝播の機構が明らかになっている。内生生物は後腸に生息し、コロニー内での栄養交換(アリ・ハチなど社会性昆虫が相互または成虫と幼虫間で口からの分泌物を交換・伝達すること)を介して伝播される。 一次内生菌は宿主体内で養分を摂取し代謝産物を生み出すことで宿主に利益を与える。利益とは、代謝産物が宿主にとって、宿主が自力で得ることが難しい栄養素となることである。もしくは、宿主の代謝経路によって生み出されるが宿主にとって有毒な老廃物を、一次内生菌が更に代謝して無毒化することである。例えば、ブクネラ属細菌の主な役割は、アブラムシが植物の樹液から得ることができない必須アミノ酸を合成することである。同様に、ウィグルスウォーチア属細菌の主な役割は、ツェツェバエが食べる血液から得られないビタミンを合成することであると推測される。シロアリの内生原生生物の主な役割は、宿主が食べる食物繊維のリグノセルロース質を分解することである。 内生細菌とっても内部共生は利益を与える。主な利点としては、捕食者との遭遇機会と他の細菌種との競合機会の減少、宿主による栄養素の十分かつ安定的な供給、環境の安定性である。 昆虫の偏性内生細菌のゲノムは既知の細菌で最小である。非内部共生性の密接な近縁細菌種と比較すると、偏性内生細菌は多くの遺伝子を失ったことがわかる。損失した遺伝子はいくつかは昆虫の内部共生において必要ないものと推測されている。 偏性共生細菌への攻撃は宿主昆虫の殺傷につながる。病原虫や食害虫といった害虫駆除の方法の一つとして注目されている。例えば、アブラムシは農作物にとって害虫であり、ツェツェバエはアフリカ睡眠病の原因原虫ブルーストリパノソーマ(Trypanosoma brucei)の媒介者である。他に、昆虫の偏性共生細菌の研究目的には細菌の遺伝学と分子生物学についての研究がある。外部の自然環境で生息する細菌が持つ遺伝子の多くを喪失して、共生細菌はどのようにして生育するのだろうか。 エンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon pisum)は少なくとも3種類の二次内生菌を保有する。Hamiltonella defensa、Regiella insecticolaそしてSerratia symbioticaである。H. defensaは寄生虫からの宿主の防御を助ける。ツェツェバエは二次内生菌Sodalis glossinidiusを保有する。この細菌は、中腸と血リンパといった宿主組織の細胞間および細胞内に生息する。ツェツェバエとこの二次内生菌について、この2種の進化に系統発生学的な相関性はない。ツェツェバエの一次内生菌Wigglesworthiaとは異なり、Sodalisはin vitroで培養できる。
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