日本における関係者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 16:19 UTC 版)
ICIJと提携し、共同通信社と伴に解明作業に参加している朝日新聞社の調査と分析によると、リストには日本国内を住所とする約400の個人や企業の情報が含まれるが、政治家などの特別職は含まれていないとしている。 このうち、報道されたものとしては、警備会社セコム創業者の飯田亮と戸田壽一、その親族につながる法人がある。飯田と戸田は、1990年代から当時の時価にして700億円の持ち株を、イギリス領ヴァージン諸島やガーンジーに設立された、複数のオフショア法人に名義移転させていたとされている。 複数の専門家は、この措置によって、両名の親族ないし遺族への贈与税や相続税が、かなり圧縮される結果になっていると指摘している。東京新聞の取材に対し、セコムは「税務当局に詳細な情報開示を行って、適正な税金を納めている。課税を免れるためのものではない」と書面で回答したが、情報開示や納税の具体的内容に関して、説明していない。 2016年4月26日、日本在住者や日本企業が株主や役員として記載された回避地法人が、少なくとも270法人に上ることが分かった。5月10日までに判明した主な企業は、ソフトバンクのグループ会社、大手商社の丸紅、伊藤忠商事、そして広告代理店最大手の電通などであった。また個人も400人(重複含む)ほど含まれていることが分かり、コーヒー飲料大手のUCCグループの代表者の上島豪太や楽天代表者の三木谷浩史社長なども記載があった。 ソフトバンクは「設立したのは、中華人民共和国のIT(情報技術)企業で、同社は設立に関係せず、要請を受けて事業参加したが撤退した」と説明した。丸紅、伊藤忠商事両社は、いずれもビジネスのための出資だとし「租税回避は目的でない」と説明した。UCCホールディングスは「日本の税務当局に求められた情報は随時開示し、合法的に納税している。租税回避が目的ではない」と述べた。楽天は「節税や脱税を目的としたものではない」と述べた 同5月27日、朝日新聞は民進党の石関貴史の資金管理団体「石関たかしを育てる会」で会計責任者を務めた地元・群馬県内の青果仲卸会社社長が、タックスヘイブンにある会社の株主としてパナマ文書に載っていたと報じた。社長は「海外でのビジネス展開が目的で設立したが、事業は行っていない。すべて適法に処理している」と説明し、石関事務所は「(朝日新聞の)取材を受けて初めて知った」と述べた。 同7月28日、日本放送協会の調査報道により、MARU(旧:AIJ投資顧問)代表であった浅川和彦の名前が発見された。 同11月27日、朝日新聞社とNHKは、漫画家のいがらしゆみこの名前がタックスヘイブンにある会社の役員として、パナマ文書に載っていたと報じた。いがらしの名前があったのは、イギリス領バージン諸島の会社の登記関連資料で、1998年12月から2002年3月まで役員を務めたことになっていた。さらに、住所がいがらしの自宅と一致し、後任の役員に娘の名があった。資料には、いがらしと娘の署名が同じ筆跡による漢字で記されていたが、いがらし母娘のものとは別の筆跡であったことから、事務所は「第三者が勝手に名前を使ったのではないか」と述べ、いがらし本人も「びっくり。なんじゃらほいっていう感じ」「全く身に覚えがない」と否定した。 またパナマ文書には脱税に関与しておらず、2008年当時、香港HSBC(海外)口座を持つことが、一種のステータスと宣伝していた金融雑誌Zaiや海外法人設立を謳う業者に半ば乗せられて登記した日本人が散見され、脱税無関係者や被害者である者が少なからず存在している。
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