日本における長時間労働への対策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 08:38 UTC 版)
「長時間労働」の記事における「日本における長時間労働への対策」の解説
2015年12月25日、広告代理店最大手の電通で、女性新入社員が長時間労働による過労により若くして過労自殺した。(電通は、この過労自殺事件が起こる前にも、この事件とは別に過労自殺事件を起こしている。)この事件を受けて、法人としての電通及びその幹部が送検されたことが大きく報道され、長時間労働の問題が社会的に大きく注目されるようになった。 2016年12月26日に厚生労働省は「過労死等ゼロ緊急対策」を発表し、企業に長時間労働対策を求めると同時に、労働基準監督署や労働局による取り締まりを強化する方針を発表した。あわせて、悪質な企業については企業名を公表するとして、その範囲も広くしている。 2017年4月に厚生労働省が発表した「平成29年度地方労働行政運営方針」においては、長時間労働の抑制や過重労働による健康障害の防止がこれまで以上に強調され、労働基準監督署による臨検でも特に重視されている。 企業の側も、適切な長時間労働対策を行うことが求められている。労働時間の適切な管理や、業務の効率化・均等化はもとより、これまであった産業医による長時間労働者への面接指導の規定を改正して、2017年6月からは月100時間超の時間外労働をした労働者の労働時間等の情報を事業者が産業医へ提供することが義務化され、産業医が長時間労働者に対して面接指導を受けるよう勧奨することが、これまで以上に求められるようになった。 面接指導自体は、労働者本人の申出が起点となるものであるが、月100時間超の時間外労働をしなければならないほどの多忙な労働者が自ら申出ることは実際には考えにくいことから、企業の側から労働者の健康に対し適切に配慮することが必要となる。 平成31年4月の労働基準法改正により、時間外労働の上限規制が盛り込まれ、特別条項をもってしても月100時間、年720時間を超える時間外労働をさせることはできなくなった。
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