新たな自然史博物館
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/18 02:17 UTC 版)
「ミグアシャ国立公園」の記事における「新たな自然史博物館」の解説
2003年6月に、建設に500万ドル以上が費やされた新しい自然史博物館が開館した。来館者たちは、この場所がどれほど優れた価値を持っているのかを示す新たな展示品を観覧できる。常設展示に加えて、特設展示室では、説明付での自然史や自然科学の諸領域に関わりのある展示が行われている。 科学調査のために、二つのコレクションの部屋が新設された。一つは模型や図像にあてられた部屋で、もう一つはケベックの脊椎動物・無脊椎動物の化石の地層学的なコレクションのための部屋である。後者の土台になったのはサン=ジュレ・コレクション(la Collection Saint-Gelais)である。フィリップ・サン=ジュレ(Philippe Saint-Gelais)は自然科学全般に情熱を持っていた独学者だったが、1966年に最初の化石として三葉虫の仲間の化石を発見して以来、古生物学にかける情熱が冷めることはなかった。 サグネ(Saguenay)からラック=サン=ジャン(Lac-Saint-Jean)にかけての地域において、真の先駆的古生物学者だったサン=ジュレは、古生物学に論理的でかつ厳格な方法を以って接近した最初の人物であった。20年ほどの間に、彼は珍しい化石も含めて2000点以上の化石を収集することに成功した。そのことは、4億5000万年前のミグアシャに見られた海洋動物相が、実に多彩なものであったことを証明しているのである。 認識されている科学的価値と関連付けられたこのコレクションは、多大な情熱と忍耐力、そして要請される科学的厳格さをもって集められた。彼は露頭で採取し、標本を分類し、独自の科学的な遺産を構成しようと様々な研究書や専門家にあたったのである。 極めて豊かな情報をもたらしてくれるこのコレクションは、現在はケベック州の古生物学コレクションに属しており、ケベック州の古生物学遺産に関する巡回的な展示に加えられているものもある。フィリップ・サン=ジュレの科学上の貢献は否定しえないものであり、その業績は、古生物学調査に貴重な資料を提供しつづけている。三葉虫の仲間に彼の名前を付けて、その貢献を強調した研究者たちもいる。その三葉虫の名はワレンクリヌロイデス・ゲライシ(Walencrinuroides gelaisi)で、「ゲライシ」(gelaisi)はジュレ(Gelais)に由来している。これはジュレその人を称えるにとどまらず、知識を愛する独学者たち全てに波及するオマージュなのである。ミグアシャ国立公園は、この地層学上の魅力的なコレクションの収蔵を、栄誉として示している。 新しい博物館には、機械の準備や化学的な準備に特化した準備研究室(Des laboratoires de préparation)が設置されている。また、ミグアシャで予定されている実地調査に参加したいと考える外国人研究者の受け入れ機関が設置されており、外国人研究者向けの宿泊施設も備わっている。 ミグアシャ国立公園の自然史博物館では、水から出る事を可能にした解剖学的・形態学的特質を具え、かつ子孫に伝えてくれた我々の遠い先祖である魚類の化石を見ることができる。その魚たちから遥かな進化の時を経て、直立二足歩行に辿り付いた我々にとって、デボン紀の生物たちが水から出たということは、進化史上極めて重要な段階の一つであった。
※この「新たな自然史博物館」の解説は、「ミグアシャ国立公園」の解説の一部です。
「新たな自然史博物館」を含む「ミグアシャ国立公園」の記事については、「ミグアシャ国立公園」の概要を参照ください。
- 新たな自然史博物館のページへのリンク