教科書採択と反対運動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/30 17:19 UTC 版)
「新しい歴史教科書をつくる会」の記事における「教科書採択と反対運動」の解説
現場の教員、PTA、教育委員、歴史学者、アジア女性資料センター、"人間と性"教育研究協議会などの市民団体が「歴史修正主義の教科書だ」、「戦前の軍国日本の肯定」などとして反対運動をしており、採択の可能性のある学校の周囲にて反対のビラを撒いたり、採択会場に乱入したり、「採択すると市民を殺す」等の脅迫電話を役所にかけたり、時には暴力的行為等を行っている。つくる会ではこうした脅迫めいた反対運動が採択が進まない一つの原因であるとしている。 公安調査庁によると、日本共産党や同党系団体は採択反対の取り組みをしており、代表的反対運動団体である「子どもと教科書全国ネット21」を側面から支援し、これらは採択関係者に抗議電話やファックスを集中的に送ったり、文科省周辺で「人間の鎖」を行うなど激しい反対運動を展開しているとしている。また、過激派の共産主義者同盟戦旗派や共産主義者同盟 (全国委員会)が主導する「アジア共同行動日本連絡会議」が、採択に反対する内外の労組、在日韓国人団体などと共闘して全国各地の教育委員会や地方議会に対し、不採択とするよう積極的活動をしていたことが判明している。 栃木県下都賀地区の場合、一度採択が決定したが、中核派主導の「百万人署名運動」が教科書採択協議会に抗議電話を殺到させており、結果的に栃木県下都賀地区は採択を撤回するに至っており、またJRCL(旧第四インター)や統一共産同盟の活動家が加わった団体が採択を検討していた和歌山県教育委員会に集中的に抗議ハガキや質問状を送り付けていたことも伝えられている。 2002年には、革命的労働者協会(解放派)がつくる会事務所に時限発火装置で放火するテロ事件が発生している。 中核派は2005年の杉並区で採択が検討された際にも市民団体と共闘して抗議運動をしており、同年8月4日に東京都杉並区教育委員会がつくる会の教科書を検討するにあたって中核派の一人が暴行で逮捕された 。 つくる会の教科書に賛同する教育委員(茨城県大洗町)や、教育長(東京都、当時)や元文部省官僚の加戸守行愛媛県知事が直接関わって採択しようとした動きもあった。実際に愛媛県の県立中学校である養護学校では知事の意向が反映され採択(2001年)された。また県立の中高一貫校でも2004年に採択された。 韓国の報道機関のなかには「つくる会」を『日本の教科書わい曲団体「つくる会」』といった表現をしており、また在日韓国人組織である「在日本大韓民国民団」が、つくる会の運動を、超党派議員で構成された「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」がバックアップしており、そこでの活動が「韓日関係の熱気を凍らせるもの」などとして採択反対運動を行う主張をしており、杉並区での採択の際にも全国の民団員が次々と殺到して傍聴席に陣取り、杉並区議会で教科書採択の質問が出ると、禁止されている野次を続け、注意をされても止めず、さらに区長室の前にも多数で押し掛け、シュプレヒコールを繰り返している。 愛媛県今治市で「新しい歴史教科書」を採択したことに対し、市民団体、在日韓国人、韓国人が原告となり使用停止を求める行政訴訟を起こした。2010年2月、この裁判の口頭弁論で来日していた韓国人歴史研究家が今治市教育委員会事務局を訪れて、「新しい歴史教科書」の採択を再検討するよう市教育長に求めた。教育長は「事実を事実として教えている。平和を願わない人はおらず、戦争の悲惨さなどを伝える努力もしている」と述べた。翌2011年4月には、韓国の市民グループ「アジアの平和と歴史教育連帯」の委員長も今治市教委を訪れ「新しい歴史教科書」の採択中止を要望した。同グループは「韓国を強制で併合したことも正当化し、アジアとの真の友人関係をはぐくむことに反する」と主張している。
※この「教科書採択と反対運動」の解説は、「新しい歴史教科書をつくる会」の解説の一部です。
「教科書採択と反対運動」を含む「新しい歴史教科書をつくる会」の記事については、「新しい歴史教科書をつくる会」の概要を参照ください。
- 教科書採択と反対運動のページへのリンク