提唱と解体の経緯とは? わかりやすく解説

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提唱と解体の経緯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/23 16:06 UTC 版)

鞭毛虫」の記事における「提唱と解体の経緯」の解説

現在でこそ「鞭毛虫類」は人為分類群である事が一般に認知されているが、古く二界説における原生動物門や、三界説五界説で言う原生生物界中に設置され自然分類群であるかのように扱われてきた。鞭毛虫類は「鞭毛運動する単細胞生物」である事を分類形質とし、該当する生物全てをまとめた群であった。従って、単細胞又は群体形成する生物で、一本上の鞭毛備えるものは悉く鞭毛虫類含まれた。鞭毛虫類内部分類としては、葉緑体を持つ有色鞭毛虫(=植物性鞭毛虫鞭毛虫鞭毛藻)類と、持たない無色鞭毛虫(=動物性鞭毛虫)類とに区分された。分子系統分類という手法存在しなかった当時分類形質たり得る形態情報著しく限定される単細胞生物にあって鞭毛色素体という明瞭な細胞構造格好分類基準であった一方アメーバ様の生物に対しては、鞭毛虫類対比させる形で根足虫類という群が設立され仮足を持つもの、変形運動を行うものはここに集められた。しかしながらアメーバ様の特徴備えながらも鞭毛を持つ生物多く存在し、それらは「有鞭根足虫類」などと呼ばれたり、或いは鞭毛虫根足虫まとめて肉質鞭毛虫類」なる分類群設けられるなどした為、鞭毛虫類取り巻分類体系混乱極めたまた、有色鞭毛虫類鞭毛虫類であると同時に藻類として扱われ、そこではむしろ色素体含まれる同化色素重要な特徴とされる。その部分特徴異なるものが複数含まれるため、動物としては鞭毛虫綱の下の目の異なるものとの扱いであるのに、それらが植物としては異なった門に入ることが珍しくなかった原生生物研究が進むにつれ、鞭毛真核生物先祖的形質である事が明らかとなってきた。繊毛また、鞭毛根本的に異なるものとは見なされなくなった。そして単に鞭毛有無ではなく鞭毛根元にある鞭毛装置や、鞭毛付随する修飾構造こそが系統反映するのであるという認識広まった。その経過の中で、鞭毛虫まとめて一つ分類群とする扱い衰退したまた、原生生物分類大きな変革もたらした概念として細胞内共生説挙げられる。この説の提唱とその検証に伴う細胞内共生関係に関する知見蓄積により、有色鞭毛藻類無色鞭毛虫類とは単純に隔たった分類群ではなく複数回に渡る葉緑体獲得欠失とを十分考慮して互いに位置付けるべきものであるとの考え浸透した例えば、光合成を行う独立栄養生物であるミドリムシ類と、寄生性の病原であるトリパノソーマ類とは非常に近縁であるが、前者のみが葉緑体獲得したがゆえに異なった外見生活様式をとるようになったのである一方葉緑体を持つ種を含む渦鞭毛藻と、寄生性のマラリア原虫も同じアルベオラータ属していながら異な生活様式見せるが、この場合後者二次的に光合成能を失っている(Lang-Unnasch et al. 1998 参照)。このような例は他の分類群でも枚挙されるものであり、表面的な有色無色区別系統的に無意味である事を知らしめた。 現在では、かつて有色鞭毛虫類とされた目の多くが、それぞれ独立した門として扱い受けている。無色鞭毛虫類についても、同様にそれぞれの群が独立したもの見なされる傾向がある。しかし、前者古くから色素種類などを基礎ある程度確立した分類体系持っていたのに比べ後者では分類の上重要な形態形質について十分に把握されていなかった。その為、近年では電子顕微鏡レベル微細構造観察と、1980年代以降急激に発展した分子系統解析結果受けて分類群編成大局変化しており、しかも多くの説があって研究者の間でも未だにコンセンサスがとられていない。その上近年和語分類群の名を付けない傾向があり、それぞれの分類群対応する馴染みやすい名前がほとんど無い。

※この「提唱と解体の経緯」の解説は、「鞭毛虫」の解説の一部です。
「提唱と解体の経緯」を含む「鞭毛虫」の記事については、「鞭毛虫」の概要を参照ください。

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