強制加入被保険者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 10:20 UTC 版)
第2号被保険者資格の取得は、厚生年金保険の被保険者の資格を取得した日に取得する(年齢にかかわらず)。第2号被保険者でない20歳未満の者は、20歳の誕生日の前日に被保険者資格(第1号・第3号)を取得する(第8条)。また第1号被保険者・第3号被保険者は60歳の誕生日の前日、老齢給付等の受給権を有する第2号被保険者は65歳の誕生日の前日に被保険者資格を喪失する(第9条)。よって20歳未満や60歳以上の者は、第1号被保険者、第3号被保険者となることはない。 厚生労働大臣は、被保険者の資格を取得した旨の報告を受けたとき、又は第3号被保険者の資格の取得に関する届出を受理したときは、当該被保険者について国民年金手帳を作成し、その者にこれを交付するものとする(第13条)。 第1号被保険者、第3号被保険者は住所要件あり。第2号被保険者は住所要件なし。2020年(令和2年)4月1日の改正法施行により、第3号被保険者についても国内居住要件が課されることになった。その要件は健康保険等における被扶養者認定要件における国内居住要件に沿って行う。一時的に海外に居住する場合の特例についても同様である(第7条2項、施行規則第1条の3)。健康保険#被扶養者を参照。なおこの認定については、行政手続法第3章(第12条及び第14条を除く)の規定は適用しない(第7条3項)。 「国民」の名は付くが、現行法では日本国籍は要件とされていない。外国人であっても住民基本台帳に記録された者(中長期在留者、特別永住者、一時庇護許可者、出生による経過滞在者)・住民基本台帳に記録されない者であっても日本国内に住所を有することが明らかになった者は第1号被保険者として出国の翌日まで適用を受ける(平成24年6月14日年国発0614第1号・年管管発0614第2号)。2020年(令和2年)4月1日の改正法施行により、「国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者」については第1号被保険者、第3号被保険者から除外されることとなった。「厚生労働省令で定める者」とは、日本国籍を有しない者であって、在留資格が「特定活動(医療滞在または医療滞在者の付添人)」もしくは「特定活動(観光・保養等を目的とする長期滞在または長期滞在者の同行配偶者)」である者とされる(施行規則第1条の2)。 第2号被保険者は年齢規定なし。但し65歳以上の者は老齢又は退職を原因とする年金の受給権を有しない者に限る。一般的には厚生年金被保険者は65歳に達すればその後継続雇用され続ける(引き続き厚生年金被保険者であり続ける)としても第2号被保険者ではなくなる。一方、厚生年金の高齢任意加入被保険者は、70歳以上であるが老齢給付等の受給権を有しないので、第2号被保険者となる。 日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であっても、厚生年金保険法における老齢給付等の受給権者は、第1号被保険者とならない(施行令第3条)。いっぽう、老齢給付等の受給権者であっても、第2号被保険者の被扶養配偶者であれば、第3号被保険者となる。 被保険者資格の得喪・種別の変更・住所氏名の変更に関する事項の届出は14日以内に、(変更後の種別が)第1号被保険者は市町村長に、第3号被保険者については配偶者の勤務先を経由して厚生労働大臣(機構に事務委任)にしなければならない。第3号被保険者の配偶者の種別確認(異なる厚生年金被保険者種別への変更)も同様である。第2号被保険者については各実施機関で届出・手続を行うため国民年金法上の届出は不要である。被保険者が60歳に達したことにより資格喪失した場合は、届出は不要である。また、20歳に達したことにより被保険者資格を取得した場合、令和元年10月以降は機構が住民基本台帳情報の提供を受けることにより当該者が20歳に達した事実を確認できるときは、当該第1号被保険者の資格取得の届出を不要とすることになった。 月の間に被保険者の種別(第1号・第2号・第3号)に変更があった場合は、その月は変更後の種別の被保険者であったとみなされる。同一月に2回以上種別の変更があった場合は、その月は最後の種別の被保険者であったとみなされる。 第3号被保険者の認定は、健康保険法等における被扶養者の認定取扱いを勘案して機構が行う。具体的には「認定基準年間収入が、130万円未満(障害者は180万円未満)」かつ「第2号被保険者たる配偶者の年間収入の2分の1未満」である。この「年間収入」には、失業給付金や傷病手当金、年金等の収入も含む。配偶者たる第2号被保険者は「被扶養配偶者該当届」を機構に提出しなければならない。第3号被保険者の認定基準年間収入が上記以上の場合は、被扶養配偶者の基準から外れ第1号被保険者(厚生年金加入の条件を満たす場合には、第2号被保険者)となるので、第3号被保険者から第1号被保険者(第2号被保険者)への種別の変更の届出をしなければならない。また第2号被保険者たる配偶者は、「被扶養配偶者非該当届」を機構に提出しなければならない。 事業所が組合健保に加入の場合、当該健康保険組合にその使用する第2号被保険者の被扶養配偶者たる第3号被保険者の届出の経由に係る事務の一部を委託することができる。協会けんぽに加入の場合は、健康保険の被扶養配偶者となった・なくなったことの届出を事業主経由で機構に提出したときは、被扶養配偶者(非)該当届の提出があったものとみなされる。これにより、第2号被保険者の「被扶養配偶者該当届」、「被扶養配偶者非該当届」の提出は、実際には事業主経由で行う。 第2号被保険者たる配偶者が脱サラした・定年退職した場合、配偶者が第2号被保険者でなくなるので、第3号被保険者たる被扶養配偶者は第1号被保険者への変更の届出をしなければならない。配偶者からの暴力を受け、被扶養配偶者が配偶者の収入によって生計を維持しなくなった場合も、同様に届出が必要である。この場合、被扶養配偶者非該当届の提出は不要である。 厚生年金と共済年金は、2012年(平成24年)8月に成立した一元化法により、2015年(平成27年)10月に統合された(厚生年金に一元化)。保険料率の統合は公務員は2018年、私学教職員は2027年の予定である。
※この「強制加入被保険者」の解説は、「国民年金」の解説の一部です。
「強制加入被保険者」を含む「国民年金」の記事については、「国民年金」の概要を参照ください。
- 強制加入被保険者のページへのリンク