強制処分の意義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/22 02:50 UTC 版)
「強制の処分」の具体的内容についてはかつて争いがあった。 ・古典的強制処分概念 かつての有力な学説は、強制処分は、直接的な有形力の行使を伴う捜査手段、または、制裁を予告して命令の実行を義務付ける捜査手段をいい、それ以外の処分を任意処分としていた。しかし、任意捜査(職務質問など)においても一定の場合には有形力の行使を認める現実の必要がある。また、逆に有形力の行使を伴わずとも重大な人権侵害を伴う捜査手段(たとえば通信傍受、プライバシー領域の秘密撮影)があり、これらは強制処分と扱うべきである、などと指摘された。 ・新しい強制処分概念 同意を得ないで個人の法益を侵害する処分は、有形力の行使の有無を問わず強制処分だとする定義が主張された(利益侵害説)。しかし、この立場では、ほとんどの捜査が強制処分にあたることになるが、権利や利益の侵害が一定の限度の場合には、捜査活動の迅速性、有効性のために、強制処分法定主義や令状主義の適用を必須とすべきでないと考えられる。 これを受けて判例(最決昭和51年3月16日刑集30巻2号187頁)は、強制処分とは「有形力の行使を伴う手段を意味するものではなく、個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段」である、と説示している。これを支持する通説(重要な利益侵害説)の理解によると、(1)同意がないことと(2)重要な利益の侵害の2つが要件となる。
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