巣の形態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/28 01:29 UTC 版)
巣の形・材料・場所は様々である。 巣の作り方には、土台となる基質を改造するものと、材料をよそから持ってくるものとがある。前者はたとえば土や樹木の幹に穴を掘って巣を作る、地面にくぼみを作る、などである。前者は巣穴という言い方もするが、区別は難しい。 基質中に穴を掘って暮らすものには、基質が餌であり、それを食べて進むことで背後に穴が残るものと、ある程度安定した形の巣穴を維持するものがある。前者の場合、食べ跡が穴として残るために巣と見なされているにすぎないとも言える。枯れ木や朽ち木を食べるカミキリムシの幼虫や、クワガタムシの幼虫などがその例である。基質を餌にしていても、シロアリなどはある程度そこに生活のための構造を作るので、十分に巣と見なし得る。このような巣を巣穴、専門的には棲管(せいかん)という。 他から材料を持ってきて巣を作る場合、材料は、葉・枝・土・泥・石などである。都市部で巣を作る場合、金属片・針金を利用する動物もいる(カラスなど)。それらを固めるために、粘液や糸など、自分の分泌物を用いる例もある(例、:ジグモ、ユスリカなど)。全く自分の分泌物のみで巣を作る例も少なくない。 形は、管型、皿型、ドーム型、徳利型(トックリバチ)など、その巣の目的や材料によって、様々な形がある。 無脊椎動物では、細長い巣を作るものがたくさんある。海岸の砂地や海底には、カニやゴカイなど、多くの動物が穴を掘って潜っている。それらの巣穴は、動物の種によってそれぞれに独特の形を持つ。よく砂岩や泥岩の中からそれらの巣穴が生痕化石として現れる。また、泥をまとめて束ねたような巣は、ユスリカやゴカイの仲間、トビムシの仲間などに見られる。スズメバチやミツバチの巣も、管型の巣を束ねた物と見ることも出来る。 皿形の巣は、その上で産卵するものによく見られる。コチドリは、川原の浅いくぼみを利用したシンプルな巣。魚類にも、ブラックバスなど水底に皿型の巣を作るものがある。 場所は、樹上、地中、地上、葉、水中などである。キツツキは木に穴を開けて木の中に巣を作る。ビーバーは水辺で木のダムのようにして作る。
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巣の形態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/24 11:39 UTC 版)
日本で最も普通の種は、キシノウエトタテグモ Latouchia swinhoei typica である。本州中部以南に分布し、人家周辺にも普通に生息する。コケの生えたようなところが好きである。地面に真っすぐに穴を掘るか、斜面に対してやや下向きに穴を掘る。穴は深さが約10cm程度、内側は糸で裏打ちされる。巣穴の入り口にはちょうどそれを隠すだけの楕円形の蓋がある。蓋は上側で巣穴の裏打ちとつながっている。つながっている部分は狭く、折れ曲がるようになっていて、ちょうど蝶番のようになる。蓋は、巣穴と同じく糸でできている。そのため、裏側は真っ白だが、表側には周囲と同じような泥や苔が張り付けられているため、蓋を閉めていると、回りとの見分けがとても難しい。 クモ本体は体長15mmくらい。触肢が歩脚と見かけ上区別できないので十本足に見える。これは原始的なクモ類に共通する。鋏角は鎌状で、大きく発達していて、穴掘りに使用する。全身黒紫色で、腹部にはやや明るい色の矢筈(やはず)模様がある。クモは巣穴の入り口におり、虫が通りかかると、飛び出して捕まえ、巣穴に引きずり込んで食べる。大型動物が近づくと、蓋を内側から引っ張って閉じる。さらに接近すると、巣穴の奥に逃げ込む。巣穴の奥に産卵し、子供としばらくを過ごす。子供は巣穴を出てから空を飛ぶことなく、歩いて住みかを探す。 近年、近似種のオキナワトタテグモ Latouchia swinhoei swinhoeiの亜種とされた。 オキナワトタテグモは沖縄本島に、さらに周辺諸島ではそれぞれ固有種が分化している。 同じように地中に穴を歩って巣を作り、入り口に扉をつけるものにキムラグモがあるが、巣穴の裏打ちに糸を使用しない点が異なる。 両開きの扉を作るものもある。カネコトタテグモ科に属するもので、日本では本州の固有種であるカネコトタテグモが含まれる。多くは苔の生えた斜面に巣穴を掘る。その巣穴の入り口は、左右に開くようになっているが、キシノウエトタテグモの場合のように、蝶番部がはっきりしている訳ではないので、あまり扉らしくは見えない。閉じている時には、中央に、縦に閉じ目がわずかに見えるが、蓋の表面は周囲と同じ苔などで覆われ、発見するのは大変困難である。北海道のエゾトタテグモも同様の巣を作る。 近縁なものであるが、生息環境が変わっているのが、キノボリトタテグモである。このクモは、ほかの仲間と異なり、巣穴を掘らない。苔むした樹や、岩の上に生息し、樹皮や岩の上に、指貫き状の短い袋を糸で作る。そしてその口に一枚扉をつける。蓋の表と同様に、巣の表面にも周囲の苔や泥などをつけるため、発見はやはり難しい。クモは蓋の裏側に留まっており、餌が通りかかるのを待っている。蓋を無理やり開けてやると、蓋の裏側に身を縮めて留まっているのが見える。神社など、古い森林に見つかるが、近年は減少が著しい。
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