専門性の拡大と飛躍(2007–2008)
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「プリーティ・ジンタ」の記事における「専門性の拡大と飛躍(2007–2008)」の解説
出演した2本の商業映画が失敗に終わったため、ジンタはアート映画への進出を決意する。インドではパラレル映画として知られるネオリアリズム映画のムーブメントである。ジンタとしては初の英語作品であるリトゥポルノ・ゴーシュ(英語版)監督の劇中劇ドラマ映画『The Last Lear』(2007年)では、アミターブ・バッチャンと共演した。ジンタは、独占欲の強い夫との波乱に満ちた関係に揺れる中、シェイクスピア俳優のハリシュ・ミシュラ(バッチャン)の相手役として新しいプロジェクトに取り組み奮闘する映画女優、シャブナムを演じた。この映画は、2007年のトロント国際映画祭でプレミア上映され、好評を博した。その後のインド国内での評価も高く、ラジーヴ・マサンドは「彼女自身の可愛らしいイメージが、今作で葛藤する成熟した女性として与えるインパクトによって損われることなく、見事に各シーンをこなしている」と書いている。 スカンヤ・ヴァーマはジンタを「非常に繊細」と評したが、英語による会話が状況の深刻さから」気をそらしてしまう、と嘆いている。『The Last Lear』は第55回ナショナル・フィルム・アワードで最優秀英語作品に選ばれた。当初アート映画に否定的であったジンタは、「アート映画ではお金にならない、食べていけないと思っていましたが、間違っていました。ここにいられてとても幸せです」と、最終的にはこのジャンルへの挑戦を肯定的に語っている。 ジンタは次にサミール・カルニック(英語版)の『Heroes』(2008年)で主演した。この作品は、1999年のカールギル紛争で命を落とした軍人が書いた3通の未投函の手紙をその家族に届けるために、2人の映画学生が課題の一環として北インドを横断するという3章構成のロードムービーである。ジンタは第1章で、サルマン・カーンの戦争未亡人クルジート・カウル役で登場する。この女性は一家の大黒柱として、女手一つで息子を育てている。この役を演じるために、ジンタはアヌパム・カーの演劇学校「Actor Prepares」に通い、パンジャブ地方の女性の方言や独特の癖を学んだ。公開された映画への評価には賛否両論あったが、ジンタの演技は絶賛された。『ヒンドゥスタン・タイムズ』紙でアナンド・シンは、「カルニックは昔ながらの方法で涙を誘うことにしか興味がなく、議論を始めるつもりがない。今作の彼の成功は、主にプリーティ・ジンタが普通の女性の顔に見られる重厚さと尊厳を役にもたらしたことによるものであり、これは彼女が女優として一人前になったということかもしれない」と書いた。 同年、ジンタはディーパ・メータ監督のカナダ映画『Heaven on Earth』で主役のChandを演じた。この作品は、若いインド人女性がカナダの非居住インド人男性との見合い結婚の後トロントに移住し、苛烈な家庭内暴力の被害者となるという、実話に基づいたパンジャブ語ドラマ映画である。ジンタはメータ監督について、「新しい演技への挑戦」という願いを叶えるために、一緒に仕事をすることを切望していた監督の一人であると語っている。この役を演じるにあたり、ジンタはドメスティックバイオレンスについて徹底的に勉強し、全く未知の言語であるパンジャブ語の猛特訓を受けた。彼女は、映画の製作中、役柄から感情を切り離すことができなかったと告白した。「あるキャラクターがこんなにも私に影響を与えるとは思いませんでした。私は完全に引きこもり、内向的になってしまいました……。役柄から抜け出すことができないのです」。彼女は最終的に、「プリーティ・ジンタにまつわるすべてを脱ぎ捨てることができた」この作品を、最もチャレンジングなプロジェクトだったとしている。『Heaven on Earth』はいくつかの映画祭で上映され、ジンタにとってキャリア最高の評価を得た。『バラエティ』誌のPeter Debrugeがこの役における彼女の「圧倒的な心理的変化」について書けば、Will Sloanは彼女を「天啓(a revelation)」と呼んだ。ジンタの演技は、2008年のシカゴ国際映画祭で「残酷な現実にもかかわらず夢を持ち続けようともがく女性を、力強くも繊細に演じた」と評価され、シルバー・ヒューゴ賞の主演女優賞を受賞した。また、ジニー賞の主演女優賞にもノミネートされた。
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